95.『星空の下で問ふ』 ページ5
「クロームを守ろうとしてくれてましたね」
意地の悪そうな笑顔を浮かべ、彼は僕に向けてそう言った。夏の夜空にそよぐ風が僕達の髪を揺らした。
なんのことだ、と言う前に予想していたのか先ほどの僕の行動を事細かく挙げていきやがった。ストーカーかよ。まあ、クロームを通して見ていたのだから仕方ないか。彼を一瞥しつつ肩を竦めた。
ごろんと草原に寝そべれば、ミルキーウェイと称される天の川がその存在を主張していた。この銀河の塊が夏の星座達の魅力を奪っている気がしてならない。
夏の夜、と連想されるのは天の川が先ではないだろうか。まあ、乙姫と認知されるベガの琴座やその旦那の彦星と認知されるアルタイルの鷲座、晴れであれば橋を作るという白鳥座。
その3つの一等星を繋いだ夏の大三角も連想されることだろうが。
「……そう言えば貴方はどうして死にたいのですか」
暫く眺めていると沈黙を破るかの如く質問を投げられた。それは、以前獄寺と山本にも尋ねられたものだった。
「死にたいからに決まってるじゃないか」
何を当たり前のことをと、付け加える途中でそれはそうではないと変態ぱいなぽーの声によって遮られた。僕は彼の方向へ視線を移す。やや真剣さの混じる深海と炎の雰囲気に、あの人を思い出した。過る脳内の記憶に顔を歪める。
……厄介なタイプの眼だ。
「どういう理由で貴方は死にたいと願うのですか」
これだから聡い児は嫌なんだ。僕を理解しようとする。理解を求めていない。助けなんて求めていないのに。
本当に詰らない理由だ。
「死にたいから死にたい。それだけで十分だろう」
それ以外に何の必要がある。
「…そうですか。」
僕がそう彼に告げた時、彼は悲しそうに顔を歪めた。何故彼が顔を歪めたのか、僕には分からなかった。
『本当に言いたい言葉は何処に』
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黒井蜜柑(プロフ) - 葵さん» ありがとうございます！更新停止が多くなるかもしれませんが、なるべく早く次の話を載せようと思います！ (2018年8月14日 21時) (
レス) id: 9eff08ca5a (このIDを非表示/違反報告)
葵 - めちゃくちゃ面白かったです( *・ω・)ノ更新楽しみにしてます!!! (2018年8月14日 18時) (レス) id: 742e9e233f (このIDを非表示/違反報告)
黒井蜜柑(プロフ) - わっつあっぷふーさん» 失踪……！！？大丈夫です、失踪したら友人に殺されます(*' ')*, ,)...ｩﾝなるべく皆様に心配かけないように頑張ります！ (2017年12月8日 5時) (レス) id: 9eff08ca5a (このIDを非表示/違反報告)
わっつあっぷふー(プロフ) - 失踪じゃなくてよかったです(*´ー｀*)更新ゆっくりでいいですから失踪だけは… (2017年12月8日 0時) (レス) id: 4ec61bd823 (このIDを非表示/違反報告)
黒井蜜柑(プロフ) - みこさん» なんと！！ありがとうございます！更新停止気味で申し訳ないです…！！ (2017年10月20日 23時) (レス) id: 9eff08ca5a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒井蜜柑 | 作者ホームページ：http://minanami2.naho.ayaka.
作成日時：2017年7月10日 20時
