110.『相も変わらず、その中で』 ページ20
「お前なんなの？僕の安眠を返せまじで」
僕は眉を顰めながら、目の前の人物を睨む。そよそよと吹く風が心地よいが、全て作りものである。まじでこの男をしばいてやりたい。尤も、精神世界である為、僕が手出しすることも、彼が手出しすることも可能ではないらしいが。
「いや、悪気はないんですよ。本当」
「どの口が言ってんだ。そのパイナップル毟りとるぞ」
紺色の髪に独特なパイナップルヘアーに、伸びた後ろ髪を一つに縛った、かなり特徴的な髪。そして、赤と青のオッドアイ。身長も伸び、精神的にも凛々しくなった。そう言わずともしれた変態パイナポーである。
「クフフ……いやそれは困ります」
余裕のある顔から急に真面目な顔になる。彼の反応に僕は目を丸くした。お前どんだけその言葉言いたいんだよ。
「クフフいるか？今の言葉の先頭にそれいる？」
因みにそんなことを言ってもただ笑ってはぐらかされるだけである。こいつ本当に言いたいだけかよ。
「フランがいるから大丈夫でしょうけど、その身体いつまで耐えれるんですか」
寝そべる僕の隣に腰を掛け、流れる雲を眺めながら彼は話を変えてきた。それ、昨日も聞いたぞお前。
「さあ。医者じゃないし」
どれだけ不安なんだろうか、この男は。いや、沢田達も言っていた気がする。彼奴も死んだけど。くそう、なんで僕にその番譲らなかったんだあいつ。僕が死にたいって言ってたのになんであいつが死ぬんだ。僕を死なせろよ！！！
「そうですか。」
骸は一瞬、哀しそうな瞳を此方に見せたあと、直ぐに余裕のある瞳が覗いた。僕がそれを見逃すことが無いってこと、わかってそれを見せたか。
「別にいっつも死にたい死にたいって言ってる僕の望みが叶うんだ。その時は祝福してくれるだろう？」
____そうしたら、僕は改めて実感できるんだ
僕はただ穏やかな表情をしていただろう。なんとなく、自分でも分かっている。ゆっくりと身体を起き上がらせると、多分僕の表情に戸惑っている骸の頬に触れる。
「安心しろ、死ぬときはお前に一言挨拶してから逝ってやるわ」
僕がそう決め顔で笑うと、骸は呆けた後、小さく噴き出した。
「いや、死ぬのやめましょうね」
そして僕の存在を確かめるかのように頬に触れる手に触れると、もたれ掛かってきた。
「……いや、僕を寝かせろよ」
「そこはムードを読みませんかね」
骸は肩口に顔を寄せたまま、溜息を吐いて彼女の言葉に返した。
111.『澱んだ不安を胸に』→←109.『軋りと廻る歯車を壊す音』
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黒井蜜柑(プロフ) - 葵さん» ありがとうございます！更新停止が多くなるかもしれませんが、なるべく早く次の話を載せようと思います！ (2018年8月14日 21時) (
レス) id: 9eff08ca5a (このIDを非表示/違反報告)
葵 - めちゃくちゃ面白かったです( *・ω・)ノ更新楽しみにしてます!!! (2018年8月14日 18時) (レス) id: 742e9e233f (このIDを非表示/違反報告)
黒井蜜柑(プロフ) - わっつあっぷふーさん» 失踪……！！？大丈夫です、失踪したら友人に殺されます(*' ')*, ,)...ｩﾝなるべく皆様に心配かけないように頑張ります！ (2017年12月8日 5時) (レス) id: 9eff08ca5a (このIDを非表示/違反報告)
わっつあっぷふー(プロフ) - 失踪じゃなくてよかったです(*´ー｀*)更新ゆっくりでいいですから失踪だけは… (2017年12月8日 0時) (レス) id: 4ec61bd823 (このIDを非表示/違反報告)
黒井蜜柑(プロフ) - みこさん» なんと！！ありがとうございます！更新停止気味で申し訳ないです…！！ (2017年10月20日 23時) (レス) id: 9eff08ca5a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒井蜜柑 | 作者ホームページ：http://minanami2.naho.ayaka.
作成日時：2017年7月10日 20時
