103:『宵の中で叫ぶ声』 ページ12
沢田に対して、XANXUSは自嘲気味に自分のことを話した。スクアーロはそんな彼に対して同意の言葉を投げた。暫く相変わらずのやり取りをしていたが、彼は残りの記憶を話す気はなかった。
暴走気味の彼を見ていて僕は溜息が出た。ああ、本当に子供みたいだ。あれ嫌い、これ嫌い、何も知らない。そうやって、全て拒否を示すただの子供。
いい加減にしろ。
そう思ったとき、僕は叫んでいた。
「お前は、何もわかっちゃいない！XANXUS！！」
周りが驚きに満ちた顔をこちらへと注いだ。沢田の声も聞こえてくる。XANXUSは、何も言わなかった。無言であるから、死んでないことを祈るとしよう。尤も、彼が死んだとすれば騒ぐのは誰かも目に見えている。そこのロングなんて一緒にあの世に逝くんじゃないか？
ついでに僕も行きたいな、なんて。
「あれも嫌だ、これも嫌だ。誰が何を言っても聞く耳持たず。何だお前は、幼児か。駄々をこね続けている幼稚園生か？」
スクアーロが背後からキレた声がした。僕は知らない顔をして、XANXUSに返答を求める。
「…何が言いたい」
彼の声は冷たかった。いや、やや震えている気がした。
「周りを見てみろよ。お前は独りだったか。孤独だったか。違うだろ、お前が寄り添おうとしていなかっただけで、ここにいるスクアーロも、そこにいるベルも、マーモンも、レヴィアタンも、ルッスーリアも、お前を慕い、着いてきた仲間だろ。それを、見ないふりして、結局は自分が一番可愛そうだとそう悲劇面してただけじゃないのか」
僕がそう言い上げたとき、XANXUSは徐に立ち上がり僕を見据えてきた。その鮮血のように赤く、鋭い瞳で。ようやく彼は、僕に向かって自身の感情を吐露したのだった。
何がわかると、紡がれた。のうのうと逃げたお前に、ボスの座が消えた時の思いが、信頼していたものに対しての裏切りが、真実を言ってくれなかったことの憤りが、何がわかるとそうやって紡がれた。
「わかるか。同意してほしいのか？同意すれば、お前はおさまるのか？違うだろ。少なくともお前に必要なのは、"認める"ことだ。難しいだろうが、全て認めろ。そして、前に進みだせ。
何時までたっても過去にしがみつくだけの価値がどこにある？」
XANXUSの表情は、険しくなる一方だった。吐露する気持ちと、軽くなる心に戸惑いを覚えているようにも感じた。
「…お前は、血が繋がっていなければ家族ではないと思っているのか」
最後の言葉の一端を僕は紡ぎ始めた。
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黒井蜜柑(プロフ) - 葵さん» ありがとうございます！更新停止が多くなるかもしれませんが、なるべく早く次の話を載せようと思います！ (2018年8月14日 21時) (
レス) id: 9eff08ca5a (このIDを非表示/違反報告)
葵 - めちゃくちゃ面白かったです( *・ω・)ノ更新楽しみにしてます!!! (2018年8月14日 18時) (レス) id: 742e9e233f (このIDを非表示/違反報告)
黒井蜜柑(プロフ) - わっつあっぷふーさん» 失踪……！！？大丈夫です、失踪したら友人に殺されます(*' ')*, ,)...ｩﾝなるべく皆様に心配かけないように頑張ります！ (2017年12月8日 5時) (レス) id: 9eff08ca5a (このIDを非表示/違反報告)
わっつあっぷふー(プロフ) - 失踪じゃなくてよかったです(*´ー｀*)更新ゆっくりでいいですから失踪だけは… (2017年12月8日 0時) (レス) id: 4ec61bd823 (このIDを非表示/違反報告)
黒井蜜柑(プロフ) - みこさん» なんと！！ありがとうございます！更新停止気味で申し訳ないです…！！ (2017年10月20日 23時) (レス) id: 9eff08ca5a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒井蜜柑 | 作者ホームページ：http://minanami2.naho.ayaka.
作成日時：2017年7月10日 20時
