標的9 ページ9
＿＿＿ほぼ同時刻、並盛町。
「う、ぐはッ」
人通りの少ない路地から呻き声が漏れる。
「よえーよえー。風紀委員、恐るるに足らーず！」
「き、貴様ら……何者だ……」
「んあー？」
“風紀”の腕章をつけた、見るからに重症の少年が問う。
「遠征試合にやってきた隣町ボーイズ？」
「……それつまんないよ。早く済ましてよ」
一方、二人の少年は無傷で、自らボロボロにした少年を見下ろしている。
「こいつ何本だっけか？」
「なっ何をする気だ！？」
カチカチ、とペンチを鳴らしながら、倒れ伏した少年のリーゼントをわし掴む。
「恨まないでね〜上の命令だから」
「待て！や、やめ……」
「ほい」
必死の抵抗虚しく、静まり返った住宅街に悲鳴が響き渡った。
＊
「オイ！！いつまで寝てやがんだ、起きろ！」
「ぐぇえッ！！？」
次の日。
私は脇腹に強い衝撃を感じて目を覚ました。
「うッせーな、カエルが潰れたみてえな声出しやがって」
「お、起こし方ぁ……！」
お前が蹴飛ばしたんだろおお！！
と言いたいところだが、泊めてもらっている手前、ぐっと堪える。
「うう……おはよう、獄寺」
「とっとと起きろ。飯出来てんぞ」
言われて見れば、パンの焼けるいい匂いがする。
なんだかんだ言って、世話焼きなのかもしれない。
「私ここに住む……」
「寝ぼけたこと言ってんじゃねえ、も一発食らうか」
「あっ支度シマース」
獄寺くんは容赦とかないんだね。
私は簡単に身支度を整えて、食卓へついた。
「いただきます！」
テーブルには、普段シリアルのみの私からすれば朝ごはんとは思えない程、豪華なメニューが並んでいる。
私は焼いたハムとレタス、それと目玉焼きを乗せ、ソースをかけた食パンにかぶりつく。
「う、うまぁ……！」
「当たり前だろ、オレが作ったんだから」
これは……うまい！
サックサクのパン、ほどよく半熟の目玉焼き、ジューシーなハム……！
この時ばかりは、獄寺のドヤ顔もその通りだと思った。
「いつもこんな美味しいものを……？」
「あ？んな面倒なことすっかよ」
そう言って、獄寺は黙々と食べ続ける。
私もまたパンを頬張る。
うめ〜！
「……そんなに美味ぇかよ」
「んまいれふ(うまいです)」
そう返すと獄寺は再び黙り込んだ。
ぽつり、と呟く。
「……まあ、んな気に入ったんならまた作ってやんねえこともねーけど」
！
「ごくでらぁ〜！」
「うるせええ！！いいからとっとと食えや！！」
あなたの死ぬ気の炎の属性は……
雷
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佐乃(プロフ) - 白露さん» ありがとうございます！夢主ちゃんの寝床はそのうち出るかもです……笑 (2019年7月27日 20時) (
レス) id: 0f99d84b60 (このIDを非表示/違反報告)
佐乃(プロフ) - サクラさん» ありがとうございます！ (2019年7月27日 20時) (レス) id: 0f99d84b60 (このIDを非表示/違反報告)
白露(プロフ) - 面白いです。続きが楽しみです。 ヒロインちゃんは結局どこで寝泊まりしてるんだろうw (2019年7月27日 17時) (レス) id: 5376065075 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - 物凄く面白いです。 (2019年7月27日 16時) (レス) id: fa117b4385 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：佐乃 | 作成日時：2019年7月26日 19時
