標的1 -Prologue- ページ1
おばあちゃんが死んだ。
入院していた病院から「容態が急変した」との連絡があり、駆けつけてから数時間のうちに息を引き取ったのが昨晩の話。
あまりに唐突すぎて、二人揃って海外出張中の両親は死に目に会うことは出来なかった。
二人とも今夜には日本に帰ってくる。
私は一足先に、おばあちゃんの遺品整理を始めていた。
「ごめんね、手伝わせちゃって」
「あ?今更気にすんなっての」
隣の部屋からアイツの声が聞こえる。
佐藤
本当なら、身内でもないのにこんなこと、させるべきじゃないんだろうけど……
「オレも、レイコばあちゃんには世話んなったし」
「……そう、だよね」
おばあちゃんは、昔から私たち二人をまるで兄弟のように可愛がってくれていた。
危篤の時も、二人で病院へ行った。
「これどこ置けばいい?」
「んー、本棚の横にお願い」
お互い黙々と作業を続ける。
私はおばあちゃんの三面鏡の引き出しを開けた。
「あ……これ、」
奥にしまわれていた、小さな箱に手を伸ばす。
蓋を開くと、中には綺麗な指輪が入っていた。
ふと、おばあちゃんが生前よく口にしていた「私が死んだら、この指輪はあなたにあげるわ」という言葉を思い出す。
余程大切なものなんだろうか。
なんとなく、指にはめてみる。
「おい、こっち終わったぞ」
「ありがとう。少し休憩にしようか」
楽はおう、と言って部屋から出ていった。
「おっ、リボーン最新刊じゃん。読んでいい?」
「え、私まだ読んでないんだけど……まあいっか」
手伝わせちゃってるし。
隣の部屋から「サンキュー」という声がする。
先日発売のリボーン42巻。
買ったはいいが、こんなことになってしまって、まだ読めていなかった。
私もここが終わったら休憩しよう。
そう思い、階段の上にある段ボールを持ち上げる。
その時だった。
「う゛わあッ!!?」
持ち上げた瞬間、中から黒い何かが飛び出す。
……Gから始まるアイツだ。
私は驚いて、思わず飛び退いた。
段ボールの中身が散らばる。
「おい、なんかでけー音したけど大丈……」
目を丸くした楽と、
階段を踏み外した私の視線がぶつかる。
「ッA!!」
どこまでも落ちていく。
あるいは、昇っていく。
そんな判然としない浮遊感の中、
最期に私は手を伸ばした。
あなたの死ぬ気の炎の属性は……
雷
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佐乃(プロフ) - 白露さん» ありがとうございます!夢主ちゃんの寝床はそのうち出るかもです……笑 (2019年7月27日 20時) (レス) id: 0f99d84b60 (このIDを非表示/違反報告)
佐乃(プロフ) - サクラさん» ありがとうございます! (2019年7月27日 20時) (レス) id: 0f99d84b60 (このIDを非表示/違反報告)
白露(プロフ) - 面白いです。続きが楽しみです。 ヒロインちゃんは結局どこで寝泊まりしてるんだろうw (2019年7月27日 17時) (レス) id: 5376065075 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - 物凄く面白いです。 (2019年7月27日 16時) (レス) id: fa117b4385 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:佐乃 | 作成日時:2019年7月26日 19時