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それは、この場にいたクラスメイト全員が聞きたかった問いだった。先日学秀と一悶着あった際に彼女の意志に確信を持っていたカルマですら、茅野の言葉におちょくっていた殺せんせーから視線を移す。
注目の中心、僅かに静まる空気の中で周囲の緊張を聞き取ったAは一拍間を置いてから目を細めた。一度かき上げて風にばらける髪を軽く梳いた彼女の口がゆっくりと開かれる。
「……大丈夫だよ、茅野さん」
「っほんと!?」
大きな目を瞬かせた茅野の手が、掴んでいたクラスメイトの制服の袖に一層深く皺を刻む。校舎の外につんのめりそうになるAにどうどうと宥められた彼女の隣に、二人が歩み寄った。
「よかった、折角浅野さんと話すことも増えたのにすぐ違うクラスになったらちょっと寂しいもんね」
E組にいてほしい、って思うのはあんまり良いことじゃないのかもしれないけど、と続けて笑む神崎に賛同するように奥田も頷いて彼女に並ぶ。
「そうですよ！ 私も、E組に来てから初めて浅野さんと話すようになって、浅野さんがすごくいい人って知ることができたんです、だから……!!」
熱の入った奥田の視線に負けたAが、へにゃりと眉を緩めて表情を崩した。茅野への返答とその表情に彼女の残留を確信したクラスメイトが、どっと一様に息を吐く。
よかった、だよなあ、と安堵に満ちる面々の中、渦中のAは笑って頷くだけだった。緊張から完全に解放されたのか、にこにこと輪の中で微笑んだままの彼女を、カルマだけが僅かに遠巻きに見ていた。
綻んだ空気に水を差す気にもならず、彼が胸中に押し込めたのは疑念だった。きっと、自分ですらすぐに訝しんだのだから教師陣の二人も気付いた上で口を挟まないのだろう。
正確には、Aは茅野への返事に是も非も唱えてはいない。ひとつの単語で以て言葉を返しただけだ。
そこに彼女が込めた意味を知るのは彼女だけだ。
E組に残るから安心してほしいという
自分がE組から抜けても劇的に変わるものはない、慣れゆくものだから心配はいらないという
はたまたもっと違う意味を孕んだ
好ましくない懐かしさを僅かに見せたクラスメイトの真意は、控えめな笑顔の中に隠れて扉を閉ざしてしまった。
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窓(プロフ) - 星咲夜空@スマホさん» コメントありがとうございます！これから浅野さんがどうなるのか、他のキャラクターとの絡みも含めて楽しく読んでいただけるよう更新頑張りますので、気長にお待ちください！！ (2022年6月26日 19時) (
レス) id: 1c42528565 (このIDを非表示/違反報告)
窓(プロフ) - カミレさん» コメントありがとうございます！浅野さんがこれからどうなるのか、私自身決めかねている部分もありますが最後まで楽しんでいただけると幸いです……！！ (2022年6月26日 18時) (レス) id: 1c42528565 (このIDを非表示/違反報告)
星咲夜空@スマホ(プロフ) - あ、浅野さんー！が、がんばれー！これ続きが気になる……どうなるのこれ…… (2022年6月1日 22時) (レス) @page21 id: 2efeb2cec1 (このIDを非表示/違反報告)
カミレ(プロフ) - 胸が痛いです。すごく、すごく、浅野さんの気持ちが痛いくらいに伝わってきます。がんばって浅野さん！！ この作品本当に大好きです！丁寧な描写がすごく好きです！ (2022年5月31日 9時) (レス) @page20 id: ac25ff3042 (このIDを非表示/違反報告)
窓(プロフ) - 猫さん» 遅れてしまってすみません、コメントありがとうございます！更新が滞っていますが楽しんでいただけると嬉しいです！ (2022年4月19日 22時) (レス) id: 1c42528565 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：窓 | 作成日時：2022年3月22日 20時
