素点５.５ ページ36
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ヤバい。
非常にヤバい。
憧れの翔君を追いかけて入学した高校。
翔君と同じ学び舎に通うことしか
眼中になかった俺は
入学してからのことを全く考えていなくて。
いま目の前にある
前期の中間試験の素点は4.6。
留年のボーダーラインは素点5.5。
ヤバい。
非常にヤバい。
学食の激辛カレーを食べているのに
先週下ろした半袖のYシャツの
背筋が凍る。
S「なぁ〜夏休み旅行行かねー？」
普通辛カレーの翔君の言葉も右から左で。
M「翔君…オレ素点4.6だった。」
S「へぇ〜頑張った頑張った。でさぁ〜思い切ってNYとか？ん〜パリもいいよなぁ〜俺、実は今年のお年玉まだ手ぇつけてないんだぁ♪って…え？」
M「…素点4.6」
S「留年じゃん。お前案外勉強好きだな。俺は同じ授業二回もするのはゴメンだわ。」
M「…うっ。俺だって…」
S「じゃあパリは智君とかなぁ〜大学生は休みいっぱいあるからいいよなぁ〜あ、でも智君の好きなアートってNYっぽい方かな？」
M「…う」
真っ昼間の学食で別れ話ばりに泣く俺に
厨房のおばちゃんまでざわめくが
翔君は鼻でふっと笑った。
S「泣ーくーなーよー！小倉先生に俺が泣かしたと思われんだろ。一緒に勉強してやるから」
M「ふぇーん！！翔くぅん！」
ますます増えた厨房のおばちゃんたちが
「あれがBL？」
「深夜ドラマと一緒だわッ！」
「美少年萌え？」
「やっぱ男子校ってあるのねぇ〜」
とざわめくのも気にせず俺は翔君にすがった。
…
までは良かった、が。
それからの半年は地獄で。
M「あ、翔君来てたんだぁ」
S「来てたんだぁじゃねーよ！夜の10時だぞ！」
M「今日、マッケンの誕生日で」
S「知らん！お前ほぼ毎日友だちの誕生日じゃねーか！どんな交友関係だよッ」
M「…今日は寝るね。」
S「ダメ！教科書！開く！」
…
M「ねぇねぇ〜このページ終わったらさぁ」
S「ご褒美のチューとか言うんだろ。ダメダメ！後期終わって素点が5.5以上だったら。」
M「えぇぇ！干からびちゃうよ〜」
S「お前は幼稚園から爆モテ人生だけど、一般人はチューしなくてもみんな普通に生きれんの。ほれ、特製ミニテスト！鉛筆転がすなッ！」
…
目指すは翔君のぷるぷる唇。
もとい、素点5.5。
結局連休中も智君じゃなくて、俺との勉強を選んでくれた翔君とのNYアバンチュールの実現の為に
いざ。
「では試験開始！」
チャイムと言う名のゴングが
教室に鳴り響く。
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作者名：ゆみ
作成日時：2017年5月29日 19時
