お答えをどうぞ ページ4
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M「イベリコ豚って〜どんぐりを食べて育った豚なんですよ〜」
金曜日のバルで熱弁をふるう後輩の松潤。
さんざんモジモジしたあげく飲みに誘われたから、お悩み相談かと思って
会社の先輩としては張り切って
自分の新人時代のエピソードとか、あれこれご用意して来た訳よ？
だけども！だ・け・どッ！
もうワインは１本空いて
〆のリゾットも残りわずか。
何なの？
お食事会なの？
それとも…
S「…なぁ。松潤。」
自分が思ったより低い声が出て
びくッと松潤がうつむく。
S「今日はイベリコ豚のお勉強会なの？なんか俺に話したい事ほかにあんだろ？」
怒ってないよの意思表示のつもりで
リゾットを口に運んだフォークをくるりとかえして、柄で彼の頬をつついた。
M「…ッ//…好きです」
ワインのせいなのか
真っ赤な顔でこぼれた耳を疑う言葉。
S「…好きって、そんなにイベリコ豚が？」
M「違います。翔さんが好きです。」
え？告白？
S「ふふ(笑)ありがとなー。さ、そろそろお家帰ろっか〜ママも心配してるしー」
サッとテーブルの伝票をつかんだら
がしっと骨太な手が強く重なった。
M「お返事聞くまで帰しません。」
S「いやいやいや…キミが帰さないって言っても、お店の閉店時間があるのよー」
M「じゃあ２軒目行きましょう。」
S「いやいや…ほら、明日もあるし」
M「明日から連休じゃないですか」
そうだった！
詰んだ！詰んじまったのか？
S「うん、とりあえず店出よう。」
うん。
外の風に当たって立て直そう。
M「…わかりました。」
伝票をつかんだまま立ち上がると
骨太な手がそのままついてきた。
S「離せよ。」
M「お返事いただくまで離しません。」
うわーめんどくせー。
支払いをする間も
俺のスーツの袖は握られたままで。
店の外に出たとたんに
路地裏に引きずられて
がっちり恋人つなぎをされた。
S「わー松本君てば積極的ー」
M「ふざけないでください。僕は翔さんが好きです。翔さんは僕が好きですか？」
S「えぇ…」
M「お返事は？」
S「急に…わかんねーもん。」
うつむいた俺の頬を
さっきのお返しとばかりに、繋いだ反対側の手でつつかれる。
M「わからないじゃなくて、気づかないだけだろ？ほら、この手、自分でほどけるっしょ。」
年下のくせにニヤリと見下ろされて
グッと体温が上がった。
M「はい、翔さんお答えは？」
今日の日付は24時間では終わらなそうだ。
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作者名：ゆみ
作成日時：2017年5月29日 19時
