5〜瞳 ページ6
「だから嫌なんだよ、年齢言うの……。」
部屋の隅っこで体育座りをしている彼女からはもうすぐキノコが生えてきそうだ。
一応泊めてもらう身なのだし、なんとか機嫌を直してもらおうと傍までにじり寄り、トントンと肩をたたいてみたが振り返ってもらえない。
こんな時に俺が気の利ける言葉を思いつけることができたらいいのにな。
けど俺はそんなの興味なくってさ。
「その、さ。
大人びた雰囲気があるっていいと思うよ。」
こんな言葉を絞り出すのが精一杯なんだよね。
それでも君は振り向いてくれた。
一瞬だけ目があって、そのうるんだ瞳にはなんともいえない可憐さがある。
まあすぐにそらされちゃったんだけど。
けど、照れて目を泳がせながら君がありがとう、といったのが聞こえた。
なんだかもう触れられずにはいられなくって頭をポンポンとしてなでると子供じゃないって眉間にしわを寄せられた。
それから数日間、俺は彼女の家に泊まることとなった。
勿論、ただで泊まるというのも気が引けるので手伝いやらなんやらをしながら。
そんな生活が始まった五日目の事だった。
その日は小さめの地震があって大きな揺れが来ないか心配だね、って話してた日だった。
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作者名:まぷりる | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/maycry
作成日時:2017年5月28日 22時