15〜内緒 ページ16
暇だなーと小さく呟いた。
大の字になって天井を見つめていると、会話がきこえてくる。
「今月、結構使ってやすねぃ」
「あら、高本さんのお見舞い品に奮発しすぎたかしら」
「それにしてもかなり減ってやすけど、泥棒にも入られたんじゃないんですかぃ」
「んー石上さんとこにもお見舞い品送っちゃったのよ、多分それじゃないかしら」
「しょうがないですねぃ。まあAのためならいくらでも送りやすんで」
「ごめんなさいね、いつもありがとう」
そんな会話を聞いていると、俺はここに居てはいけないような気がした。
この家には俺は重すぎる。
知り合いの地球人を泊めるよりも何倍もの食費がかかっているだろう。
嗚呼、なんで今まで気が付かなかったなんだ。
俺は迷惑だってこと。
優しい彼女の事だから、黙ってたんだろうけど。
これ以上ここにはいられない。
彼女には内緒にしよう。
そして俺を忘れてくれればいい。
俺と会ったことも。
俺と話したことも。
俺と時を過ごしたことも。
思い出として残らないで風化してしまえばいい。
寂しくない、なんて言ったらうそになるけれど、これは仕方がない事なんだ。
そう自分に言い聞かせ、暗い夜道を歩きながら宇宙船へと戻った。
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作者名:まぷりる | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/maycry
作成日時:2017年5月28日 22時