11〜どこだっけ ページ12
確か彼女の住んでいるところは武州、だったはず。
電車で切符を買い、到着したのはいいものの。
「で、どこだっけ」
首をかしげながら思わずそういった。
俺を憐れむようににヒューと風が吹いた。
此処まで来て帰るわけにもいかない。
意地でも探し出そう。
心の中で決意の炎をメラメラと燃やしていると後ろから俺を呼ぶ声が聞こえた。
「あれ、神威?」
ピシャンッと雷が落ちたような衝撃が体中に走った。
後ろを振り返り、その人物に思い切り抱き着いた。
「会いたかったよ……A」
俺がいきなり抱き着いたというのに彼女は大木のようにびくともせずしっかりと俺を抱きしめた。
けど俺に巻きつく腕はとても細くってすぐ折れてしまいそう。
体も少し押せば吹っ飛んでしまいそうなほど小さい。
待ちに待った彼女がいとおしくってぎゅうぎゅう抱きしめていると、さすがに痛いといわれ、しぶしぶ離れた。
「それで、一体どうしたの?」
「……ま、また宇宙船が墜落した」
こんなの嘘だけど、そうとでも言わなきまた連れて行ってくれないような気がして、とっさについてしまった。
彼女はクスッと笑い、ついてきてといった。
その笑みが宇宙船が墜落したのを憐れんでこぼしたものなのか嘘だと気付いてこぼした笑みなのかは俺には分からなかった。
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作者名:まぷりる | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/maycry
作成日時:2017年5月28日 22時