2話 ページ4
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事務室に着くと、先生が呼んでくれていたタクシーが来て、それに乗り込んでお母さんたちのいる病院へと向かった。
心の中で無事でいて、と何度も願いながら、もしかしたら思ったより大したこと無いかもしれない、なんて淡い期待を胸に両親へスマホでメッセージを送る。でも一向に既読の文字がつく気配はない。
そんな事をしているうちに病院へ着いた。
タクシーから飛び降り、息が切れるのも構わず病院内を猛ダッシュした。
先生に渡された紙に書いてある部屋を目指してがむしゃらに走っていると、紙に書かれていた部屋から白衣を来た医者が数人出て来た。
「あのっ…!すみません!連絡を貰って来た宵ノ瀬Aです。母と父はっ…」
そう聞くと、医者は暗い面持ちで私の方を見た。
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「宵ノ瀬さん、残念ですがご両親共、最善を尽くしましたが助かりませんでした…。」
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何となく、分かっていた。
医者の表情で何となくだけど、そんな返事が来るのは分かっていた。
でも実際面と向かって言われてみると中々信じられないもので、たった今医者たちが出て来た部屋の中へ入った。
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目の前には2つのベッドに横たわっている2人の人間。
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その顔は白い布で覆われていて、表情など分かるはずもない。
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髪の長い人の指には見覚えのある指輪
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髪の短い人の腕には見覚えのある時計
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紛れもない、私が朝に見かけた物と全く同じだった。
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そして、両親が帰らぬ人となった事を理解するのに、それらはあまりにも充分すぎる証拠だった。
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りある(プロフ) - 美園さん» コメントありがとうございます!そう言って頂けてとても嬉しいです!まだお話は始まったばかりなので、今後の展開も楽しみにして頂けたら幸いです(^ ^) (2019年11月11日 7時) (レス) id: 3eeed000d7 (このIDを非表示/違反報告)
美園 - とてもおもしろいです (2019年11月11日 5時) (レス) id: b24611d9b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りある x他1人 | 作成日時:2019年11月9日 12時