五月。 ページ3
そのことをお母さんに伝えるべく、一階に降りてお母さんに
「おなかいたい」
そう言えば朝食の用意をしていたお母さんがこころの声を聞いた瞬間に露骨に表情をなくした。急に、黙った。
こころを見ずに朝食の用意を続ける。
「痛いって、どういうふうに？」
「…いつもと、同じ。」
硬いお母さんの声がこころが言い終わる前に畳み掛ける。
「いつもとおなじ、って昨日までは平気だったんでしょう？スクールは学校じゃないのよ？毎日じゃないし、来ている人数だって学校に比べたら少ないし…先生もいい人そうだったじゃない。行くって、行けるってこころが言ったんでしょう。どうするの、行くの？それとも行かないの？」
矢継ぎ早にそう言われるとお母さんはこころに行ってほしいんだって痛いくらいにわかる。
でも、違う。
行きたくないんじゃない。本当にお腹が痛くて、行けないんだ。
こころが黙ったままでいるとお母さんは時計を見て「ああ、もうこんな時間じゃない」と不機嫌そうに舌を鳴らした。
「どうするの？」
もう一度、聞かれる。
「…いけない」
そう、行けない。行きたくないんじゃなくて、行けない。
そんな精一杯の気持ちを込めて呟くように言うとお母さんは悲しそうに、それでいて面倒くさそうに大きく息を吐いた。
「……今日だけ行かないの？それともずっと行かないの？」
わからない。答えられない。
次にスクールにある日にお腹が痛くなるかどうかわからない。
本当に、今日もお腹が痛いから行けないだけなのにそんな理不尽なことを聞かれると悲しくなる。
答えられずにいるとお母さんはもういい、と言って立ち上がってダイニングテーブルに置かれた朝食のトーストを三角コーナーに捨てた。
「朝ごはんも、いらないのね」
本当は後で食べようと思っていた。でもそんなこと言えるまもなくホットミルクも流しに流されていった。
その様子を立ったまま見ているとお母さんは奥のリビングに消え、どこかに電話する声が聞こえた。
「ああー、もしもし、安西ですけれども」
スクールに電話しているんだ、とわかった。
電話の声を聞きたくなくてこころは逃げるように2階の自室に戻ってベットの布団にくるまった。
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怜(プロフ) - トロイカさん» 本当ですね！？気づくの遅れてすみません…修正しました！ (4月4日 20時) (
レス) id: b646ea4538 (このIDを非表示/違反報告)
トロイカ(プロフ) - 全部で8人では？ (2月14日 21時) (レス) @page11 id: ccf39fbb9a (このIDを非表示/違反報告)
7Tw2ErnmNI22864(プロフ) - ちょうど昨日金ローの録画をみて、こういうの読みたいなあって思ってました！つぎのお話も楽しみにしてます！！🙏🙏 (2月14日 20時) (レス) id: 28c0945122 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：怜 | 作成日時：2024年2月9日 21時
