五月。 ページ13
「今日は、時間がないからここだけだ。どうだ？お前たちの家なんかよりずっと豪華だろう?」
オオカミ様が自慢するように見せた部屋。
こころも小さくわぁ…と息を呑むような大きな、童話に出てくるような部屋。
「……なんか、ちっちゃいおしゃれな病院の待合室みたい……」
こころの後ろでは黒髪ロングの女の子が興味深そうに部屋の中を見回していた。
「女子、こっち側ね」
四つのソファーに、男子と女子が向かい合わせになるように各々腰掛ける。
こころはポニーテールの女の子と一緒のソファーに。
その隣のソファーには黒髪ロングの女の子と眼鏡の女の子。
こころたちの向かいのソファーには、眼鏡の生意気そうな男の子と小太りな男の子。
最後のソファーには、ロンみたいな男の子とイケメンのジャージ姿の男の子。
みんなが座ったことを確認するとオオカミ様は
「すぐ戻る。自己紹介でもしてろ。」
と、なにもない空中を手で撫でて…そのまま何もない空間に、消えた。
残された8人は絶句して、それから互いに顔を見合わせ合う。
「は？」
「えっ？！」
「見た？！今の？！」
「何あれ…消えた…？」
様々な声が上がる。
図らずも、こころもオオカミ様の消失を通じて彼らに話しかけることができた。
「えっと、まず私アキ。中三。よろしく。」
最初に自己紹介したのはポニーテールの女の子…アキ。
「あ。よろしく」
「よろしく…おねがいします。」
あちこちでよろしく、の声が飛びこころもそう返すがアキがしっかりした雰囲気で、年上というのもあってつい、敬語になってしまう。
黙っていると、アキが次はあなたよ、というようにこころの顔を覗き込んできた。
「あ…、私、こころ。中一。よろしくお願いします」
よろしく、とばらばらに声が上がって、思わずとホッとして息を吐き出す。
「俺、リオン。」
次に、ジャージ姿のイケメンの子が言う。
その子は少し迷って
「よく外国人っぽい名前って言われるけど純日本人。理科の理に音って書いてリオン。趣味と特技はサッカーよろしく。…あ、中一。」
中一、こころと一緒だ。
リオンに答えるよろしく、の声がアキとこころに返すときより少し気まずそうになったのがわかった。
ここからは、自分の名前の感じとか趣味とかも言わなくちゃいけないのか――…そんな思いがひしひしと伝わってくるようだった。
でも、アキは付け足すような素振りは見せなかったし、こころも動けずにいた。
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怜(プロフ) - トロイカさん» 本当ですね！？気づくの遅れてすみません…修正しました！ (4月4日 20時) (
レス) id: b646ea4538 (このIDを非表示/違反報告)
トロイカ(プロフ) - 全部で8人では？ (2月14日 21時) (レス) @page11 id: ccf39fbb9a (このIDを非表示/違反報告)
7Tw2ErnmNI22864(プロフ) - ちょうど昨日金ローの録画をみて、こういうの読みたいなあって思ってました！つぎのお話も楽しみにしてます！！🙏🙏 (2月14日 20時) (レス) id: 28c0945122 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：怜 | 作成日時：2024年2月9日 21時
