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其の二 ページ3

男「全く、不用心なんだねAちゃんは。」

『…だって何時も困らないし』

男に云われて少女はむっとした表情を見せた時

??「こんな処におったか唐変木!」

眼鏡を掛けた長髪の男が対岸から三人を見据え、叫んでいる。

『国木田さん』

男「おー、国木田くんじゃあないか!ご苦労さま」

国木田「苦労は凡てお前の所為だこの自_殺嗜癖(マニア)!お前はどれだけ俺の計画を乱せば――」

国木田と呼ばれた男は何やら男に向かって小言を云っているように見えたが小言を云われている男は気にせず

男「そうだ、君。良いことを思いついた。彼は私の同僚でね、彼に奢ってもらおう」

少年「へ?」

ぬけぬけと云ってのけ、其の態度に国木田は

国木田「聞けよ!」

と腹立たしそうに叫んだ。

男「君、名前は?」

少年「中島……敦ですけど」

男「ついてきたまえ、敦くん。何が食べたい?」

敦「はぁ、あの…茶漬け、」

『え?茶漬け?』

敦が小さく呟いた言葉を少女が訊き返せば敦は頷いて

敦「茶漬けが食べたいです」

男「ぷっ、はははは!餓死寸前の少年が茶漬けを所望か!…いいよ国木田くんに30杯ぐらい奢らせよう」

其の言葉が聞こえたのか対岸の国木田は

国木田「俺の金で勝手に太っ腹になるな!」

と憤慨する。

男「ほら、行こう。」

『太宰さん…本当に貴方ねぇ…』

敦「太宰?」

男「嗚呼、私の名だよ。太宰」

太宰「太宰治だ。そして此方は」

太宰はニコリと微笑んで少女を指す

『有馬A。宜しく』


風が吹いて三人の髪と衣服を揺らす。

国木田が対岸から橋を渡って三人の場所へやってくる。

なんとも云えぬ不思議な空気が四人を包んだ。

其の三→←序章_其の一



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作者名: | 作成日時:2023年11月2日 16時

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