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或る、爆弾。其の一 ページ11

prrrrrr

探偵社――。全員が何処か忙しそうに走り回る中、Aの携帯が震える

『はい、もしもし……え?嗚呼、はい、…は?……へぇ、善かったじゃないですか。此方は忙しいので』

ぷつり、と電話を切ったAにセーラー服の少女が駆け寄る。

??「誰でしたの?Aさん」

『太宰さんだった。』

??「あら、新人さんのお迎えに行かれたのでは?」

『…の、筈だけどね。』

セーラー服の少女の問いに苦虫を噛み潰した様な表情を浮かべるA。

??「如何いうご連絡だったんですの?」

『「死にそう、助けてほしい」と。』

??「…はい?」

『だから「善かったね」って返しておいたよ。』

小首を傾けて携帯を弄ぶAとその様子を見つめる少女。其の奥では先程と変わらず社員と思わしき人物が忙しそうに走り回っている。

『……さて、準備しなくてはねぇ』

??「ええ!」

『ごめんね、ナオミちゃん。できる限り緩く、解けないようにするから』

少女――ナオミに向き直ったAは申し訳無さそうに眉を下げるが

ナオミ「いえいえ!私は兄様の勇姿を近くで見たいために立候補しましたもの!」

少女は嬉しそうに頬を染める。

『……愛されてるねぇ、谷崎くん』

窓の外を見るA。眼下には平和なヨコハマの街が広がっている。

『却説、如何いう動きを見せてくれるかな』

***

??「嫌だァ…もう、嫌だ…全部、全部お前等の所為だ…!『武装探偵社』が悪いンだ!社長は何処だ!早く出せ!」

ガタガタと震える男。其の手には何かの操作機が握りしめられ、男が居座る机の下には

敦「Aさんと…女の子が!」

国木田「…ち、人質を取られたか。」

太宰「あちゃー、やられたねぇ」

影に隠れてコソコソと話し込む太宰、国木田、敦の三人。

国木田「怨恨だ。犯人は探偵社に恨みがあって社長に会わせないと爆破するぞ、と」

男を盗み見ながら国木田が手短に二人に説明する。

太宰「ウチは色んな処から恨みを買うからねぇ」

太宰は男の手元の操作機とAの真横に置かれた本体機を見て顔をしかめる。

太宰「…あれ、高性能爆薬だ。この部屋くらいならいとも簡単に吹き飛ばせるだろうね。…爆弾に何かを被せて爆風を抑えるっていう手もあるけど…如何にもこの状況じゃ、ね」

考え込む様子を見せる太宰。しばらく考えたあと――ぽん、と手を打ち鳴らす

太宰「あわせてあげればいいじゃない、社長に」

其の二→←其の九



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作者名: | 作成日時:2023年11月2日 16時

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