序章_其の一 ページ2
No side
『…却説、何処に流されたんだか』
ヨコハマ某所の橋の上。
一人の少女が携帯電話片手に周りを見回す。
??「ええい!」
ばしゃん、と高架下から派手な音がして其の音に釣られるように少女が橋の下を伺えば白髪の少年が川へ飛び込み、鴉が集った川から生えた脚へ泳ぎよる様子が見えた。
『見覚えのある脚。…と男の子?』
不思議そうに呟くと少女は髪を靡かせて河川敷に走り出した。
***
少年「げほっ、げほ…うおっ!?」
少女が河川敷に降りる間に、白髪の少年は川に浮かんでいた脚とともに川から這い上がり、咳き込み、脚だけ見えていた人間はむくりと起き上がった。
少年「あ、あんた流されてて……大丈夫?」
少年が声をかけると起き上がった人間は辺りを見渡すなり不満気に
男「――助かったか。………ちぇっ」
と口を尖らせた。
少年「"ちぇっ"?!」
少年が驚いた顔をするのも気にせず男は少年の姿を司会に捉えるなり話し掛ける。
男「君かい、私の入水を邪魔したのは」
少年「邪魔なんて、僕はただ助けようと!!……入水?」
男「知らんかね、入水」
言いあう濡鼠状態の二人に一つの影が降りる。
『自_殺のことだよ。少年』
少年「は?」
新しき人物と不穏な単語達に少年は顔を呆けさせる。
男「そう、自_殺。私は自_殺しようとしていたのだ。それを君が余計なことを――処でAちゃんじゃあないか。如何して此処に?」
『其の頭で考えてくださいよ。はぁ…貴方の信条、何時も聞いてますけど守られたこと一度もないんじゃないですか?』
Aと呼ばれた少女は深く溜息をついて男を迷惑そうに見やる。
男「まぁ、Aちゃんの云う私の信条は『人に迷惑をかけないクリーンな自_殺』だからね。だのに、其処の…君に迷惑をかけた。これは此方の落ち度、なにかお詫びを――」
男が少年を見て話す間に少年の腹からぐうううう、と音がなる。
『……若しかして、お腹減ってるの?君。』
少年「…じ、実はここ数日何も食べてなくて」
少年が言い終わる前に今度は男の腹からぐうううう、と音がなる。
男「私もだ。因みに財布も流された。」
少年「ええ!?」
『先刻お礼がどうのこうの云ってた人の発言とは思えないんですけど…』
少年「そ、そうですよ!助けたお礼にご馳走っていう流れだと思ったのに!」
男「ふむ…じゃあAちゃ」
『私は財布は何時も探偵社においてます』
現在空腹の一文無し2体と少女は河川敷で話していた。
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作者名:怜 | 作成日時:2023年11月2日 16時