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12.past ページ12

「あのね、セシル。今日はチェーニャとトレイと一緒に遊んでね…!」

「お母様!ごめんさいっごめんなさいっ…!!」

ああ、これは夢だ。
昔の、夢。

この頃既に僕の中にはリドルに対するこのドロドロとした嫉妬心が芽生えていた。

あの日。
1時間待ってもリドルが帰ってこなかった日。

「セシルッ、リドルは一体どこに行ったの!?」
「し、しらない……」
「まさかっ、またあの二人なのねっ…どうして止めなかったの!!!」

そう言って母は僕を打った。
これが初めてではない。

『出来損ない』
『なんでリドルはできるのに』
『この子がこんなんだからリドルが』

『リドルが』

母はリドルを褒めることは無かった。
しかし、貶すことは無かった。
それはリドルが優秀だから。
それはリドルが愛されているから。
それは母にとってリドルが必要だから。

しかし僕は?
裏で何度も否定された。
それどころか『お前はリドルの代わりなのだから』。
存在までも否定された。

僕はボク(リドル)でなければならないと。

僕の中でリドルが絶対であり法律(ルール)であり、僕なのだと。

「セシルっ!やめてよお母様!」

ある日、それがリドルにバレた。
その事を母は初めは否定していたものの、遂にリドルの前でも言うようになった。

そこからだ。
リドルがやけに僕の傍に居るようになったのは。
でもそれは逆に僕を苦しめることになった。

エレメンタリースクールでは生徒や先生、色んな人に比較された。

リドルは気にしなくていいと言ったが、正直既に心はボロボロだった。

『リドルが居なければよかったのに。』
『僕がリドルだったら良かったのに。』

そんな言葉を飲み込み、僕はずっとリドルの優しさに溺れていたのだ。

リドルが羨ましく酷く憎かったのに、僕はリドルに依存したのだ。

だって僕にとっての全ては『リドル』だとその頃には既に染み込んでいたのだから。

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(名前)(プロフ) - あぁ…良い…でも見ていくうちにどんどんりどるのゲシュタルト崩壊が… (2023年1月25日 7時) (レス) @page8 id: 2e5d9e36c3 (このIDを非表示/違反報告)
ののの - 素晴らしかったです!!!!😭 (2022年9月19日 0時) (レス) @page42 id: 4f3997e613 (このIDを非表示/違反報告)
♦nana♦ - とても最高でした! 私も、自分らしく自由にいていいと思うことができて、とても嬉しかったです!応援しています! (2022年1月1日 21時) (レス) @page42 id: 16b63c63b8 (このIDを非表示/違反報告)
シン - 神な作品ありがとうございます!!これからも応援してます! (2021年5月29日 10時) (レス) id: 0fa80a0c97 (このIDを非表示/違反報告)
病葉 - いやぁ…あのリドルの悲痛の叫びを花江夏樹が…今をときめく鬼狩りの少年がよぎったのは気のせい? (2020年10月23日 22時) (レス) id: 0515bcf5a2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:小坂谷 真夜 | 作者ホームページ:@lag0n027  
作成日時:2020年5月17日 22時

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