闇落ちマイキー拾いました【佐野万次郎】

27日目 ページ28

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思えば、万次郎と最初に出会ったのはいつだったっけ。






気づけばそばにいて、いつの間にか大切な存在へとなっていた万次郎。あなたの存在が私の中で大きくなっていくのと同時に、あなたへの気持ちも大きくなっていった。







｢わたし、万次郎を……助けられなかった……！｣








分かっていた。最初から気づいていたのだ。
日々過ごしていく中で、あなたの目の奥が灯されるなんてこと1度たりともなかった。








やっぱり優しいあなたは、繕った表情を私に見せていたこと。笑顔だって泣き顔だってどこか虚ろで私の名前を呼んでいても、空虚で。






私以外の誰かを。
あのちっぽけな泣き虫のヒーローを探していた。
ずっと、そう。ずっと。







私は彼の大切な存在になっていると勝手に思い込んでいただけだったんだ。
気付かないふり、していふだけ。








私はこの一人になった部屋で、声も抑えずに泣いている。
泣くことしか出来ない。泣いても変わることなんてないのに。








絶対、万次郎はここには帰ってこない。
もう分かりきっている。彼のことだ。なんでも分かる。
愛していたから、わかるんだ。







約束していた海だって、心のどこかで行ける気がしないと思っていた。
私はただ、水平線を二人で寄り添って見たかっただけ。
それ以外、何も願っていなかったのに。








運命は残酷だ。
上手くいってたと思っていても、直ぐに塗り替えられる。
誰かの人生は上手くいってたとしても、その“誰か”以外の人生が上手くいってるとは限らない。








みんながみんな、幸せになれるわけじゃない。








神がいるなら信じてやる。
私の最後の我儘きいてください。











万次郎が幸せでありますように。

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