闇落ちマイキー拾いました【佐野万次郎】

10日目 ページ11

彼が姿を消してから、かれこれ3ヶ月が経った。
いつもの歩道橋に行っても彼の姿を見ることは無かった。






機械のように働く毎日、正直限界だった。
心にぽっかりと穴が空いたようで、小さなミスも増えた。





……私、彼が好きだ。






依存ということに間違いはないだろうが、彼のことが好きだと気づいたのはつい最近。毎日彼のことが頭に過り、これは恋だと認められるようになったのだった、。







今日も残業が終わり、気づけば深夜の2時。なんてことにももう慣れ、私は暗いオフィスの中独りで身支度をして会社を出だ。夜風が冷たい日だった。






いつも通りの道を辿って家に帰る。
何もかもが変わらない。そんな3ヶ月だった。
だが、今日はそんなこともなかった。






アパートの私の部屋の前の柵にもたれ掛かりタバコを吸ってる人が一人。髪は長くて口の両端に傷がある子だった。どうしたもんかと迷い、一歩踏み出すとこちらに気づいた。







あ、死んだ。直感的に理解出来た。
彼が万次郎のあの時の雰囲気と似通ったものを放っているからだ。







彼はマスクをつけてから、私を睨みつけた。
私の身は反射的に縮こまるも、何とか耐える。






「おい、何見てんだよドブス。
よりにもよってマスク外してる時じゃねーかよ！最悪だわ。俺はこの部屋の奴に用があってきただけでお前に用は無ぇんだよ。。
どうスクラップにしてやろうか……？」








ありえないくらい殺意を分かりやすく見せてきたこの子。そして私の中にひとつの疑問が生まれる。







その部屋の奴って……私だった場合どうしますかと。

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