羽が24枚 ページ30
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Aは帰る支度を終わらせて、校門を出る。外は冷たい北風が吹いていた。周りには誰もおらず、たった1人、寒い夜道を歩く。
Aは懸命に自分自身を説得する。1週間耐えたんだ。1週間耐え続けた部活が終わったんだ、と。しかし、彼女がいくら後悔しようと、大声で叫んだことはもう取り消せない。
彼女は明日、学校で、縁下に何も言われないことを願った。
初日と同じように、Aの足音だけが聞こえる。日が暮れて、星が瞬く空を見上げた。空気が澄んできれいな空には、美しい星たちが輝いていた。
あの頃の私は、輝いていたのだろうか。あの頃の私は、輝くことができたのだろうか。星々を見ながら、Aは思う。
あそこよりも____
＿＿＿＿よりも、きれいな夜空。
雲ひとつ無く、美しい月が見える。美しく、きれいな月夜は今のAの気持ちとは正反対だ。
月明かりに照らされた道を、Aは1人歩く。心の中は薄暗い雲で覆われ、濁っている。行く末など何も見えない。
ただ1つ、初日と違うこと。それは、
『あ。雪…………』
いつの間にか振ってきた、白い雪｡久しぶりに見た積雪ではなく降雪は、また思い出を掘り返す。
彼女は掘り返された記憶にも、このまま、雪が積もればいいのに。と、思い出にも積もって、見えなくなれば良いのに。と願った。
Aはカシャリ、と1枚写真を撮った。山の上の方から、たくさんの家の灯りと、海と、空と雪の映った写真。
彼女は久しぶりにあの人に連絡を入れる。連絡するのも久しぶりだ。
さぁ、どんな反応をするのかな…？と、フフっと妖しく笑ったAの顔は、誰も知らない。
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作者名：七瀬月華 | 作成日時：2021年7月29日 15時
