二十一羽目 ページ25
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熱も下がり、すっかり元気になったAはまたいつもの様に地下牢の中にいた
首元には包帯が巻かれ、その腕には見舞いの品の猫の縫いぐるみがあった
尾崎からの
空調完備である筈のこの部屋には冷たく、寂しげな空気が満ちていた
彼女の頭に浮かぶのは太宰の顔
太宰に対して恋心を抱いた訳では無い。それなのに、彼女は太宰以外のことが考えられなくなっていた
答えの出ない謎の感覚に陥ったAはそっと溜息を溶かした、その時。
「わぁぁ〜!ここ、暖かいね!!」
『!……誰?』
声をかけてきたのは不思議な容姿をした男の子だった。
鉄格子の隙間から此方に手を伸ばし、男の子は私に向かって笑いかけていた
「僕はQ!夢野久作!!お姉さんは?」
『A……有栖川A』
「よろしくね、Aお姉さん!!」
夢野から差し出された手を恐る恐るといった様子で握り、Aは『うん』と微笑を浮かべた
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「Aお姉さんはどうしてここに居るの?」
『私の異能力が危険だから……』
脳裏に蘇るのは、あの日劇場で見た
悲しげに俯いたAを見た夢野は、その姿が自身に重なったのか指先の冷たくなったAの手を取った
「………僕とおんなじ」
『え……?』
「僕も、僕の異能力のせいでここに居るんだ…」
辛そうに、微かに体を震わせながら久作くんは話してくれた
何の慰めにもならないかもしれない……けど、こんなにも小さな男の子が辛そうにしているのはどうしても見ていられなかった
だから____________
「!……Aお姉さん…?」
『大丈夫、独りじゃないよ』
握られていた手を握り返し、久作くんの頭を撫でる
どうか、この思いが届きますように……
少女のささやかなる願い___________
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七巳流 - 太宰さぁー〜ーーーん (2022年7月10日 16時) (レス) @page34 id: 910d5180ae (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - Юрияさん» コメントありがとうございます!期待に答えられるように頑張ります! (2019年4月29日 19時) (レス) id: 5e06df6d00 (このIDを非表示/違反報告)
Юрия(プロフ) - とても面白いです!此れからも、更新楽しみにしてます!更新、頑張ってください! (2019年3月17日 23時) (レス) id: f4565d370d (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 山吹晋助さん» 態々返信して頂いてありがとうございます。面白いお話にすることが出来ず力不足で申し訳ないです……そう言って頂けて光栄です。これからもよろしくお願いします! (2019年3月8日 19時) (レス) id: 5e06df6d00 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - ウナさん» コメントありがとう御座います。これからもよろしくお願いします! (2019年3月8日 18時) (レス) id: 5e06df6d00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レイ | 作成日時:2018年9月3日 23時