40*初めてのトモダチ ページ41
颯馬君が部室に一瞬顔を出し、紅月のスケジュールでエサやりが出来ないとかなりの勢いで頭を下げられた。
やり方は教えてもらっていたから大丈夫だよと送り出すもまた凄い勢いで頭を下げて部室から出ていった。
何だか台風みたい。
深海君もそのうちふらっと顔を出すかなって思いつつおさかなさんとかめ吉にエサを与え、ぼーっと水槽を眺めていた。
本当は生徒会にも顔を出さなきゃいけないけど、ちょっと今は行きたくない。
会計の資料作りなら明日の自習時間にやればいいや。
水槽のなかを優雅に泳ぐおさかなさんをきれいだと思う反面、もっと広いところで泳ぎたいんじゃないかな？とも思う。
そもそもここにいる魚は海を知らないかもしれない。
狭い水槽でも、水質管理も食事も与えられて不自由はしていない。
人間のエゴかもしれない。
それを幸せだと思うことは。
「…あれ？Aちゃん？
なんでここに？」
聞き慣れた声に振り返れば薫くんがいる。
もう一人部員がいるって颯馬君が言っていたけど、もしかしたら、もしかしなくても薫くんなんだろう。
『私も海洋生物部なんだよ。
そう言えば話してなかったね。』
「本当に？
もっと早くに聞いてたら毎日部活に顔出したのに。」
『おさかなさんも水槽もキレイで見学の時すぐに入部決めたの。』
「そっかそっか〜♪
俺的にはかなりラッキーだな。最近Aちゃん忙しそうだったからなかなか話せなかったから寂しかったんだよ…って何かあった？」
隣に座り顔を覗き込まれるから、咄嗟に下を向くも何故か顔あげられてるんだけど…
こんな至近距離で見られるのは正直恥ずかしい。
「…何かあった？」
『…何も分からない。』
「え？」
『…あーうん、何でもないよ〜』
「俺これでもAちゃんとは仲良いし、出来たら恋人になりたいとか思うこともあるけど大事な友達だって思ってるよ。
柄じゃないかもしれないけど悩んでたり困ってるなら力になりたいって思う。」
軽薄
それが彼の第一印象だったけど、本質は面倒見も良く優しい。
そう言うことを言うタイプじゃないのに私なんかのために言ってくれている事に少し感動していたりもする。
『私にとっても薫くんは大切な…友達。
…私今まで友達って居なかったから薫くんや泉くん千秋くんもだけど…初めての友達なんだよ。
…隠し事とかじゃなくて自分でも自分が何者なのか分かんなくて…少し考えてた。
本当は何も考えたくないんだけどね。』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 510人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りっちー(プロフ) - 面白かったです！更新頑張って下さいね〜！ (2018年5月21日 20時) (携帯から) (
レス) id: ee27b93d84 (このIDを非表示/違反報告)
モカ(プロフ) - 夢小説好きなネコさん» 高２の後半、もうすぐ３年になる時期からのスタートなので俺様じゃありません。 (2017年8月2日 10時) (レス) id: efb045d001 (このIDを非表示/違反報告)
夢小説好きなネコ - 兄者って高2の時俺様だったような… (2017年8月2日 5時) (レス) id: fcd198aace (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：モカ
| 作成日時：2017年7月29日 16時
