パン屑41個 ページ43
Aが目を覚ました頃、こちらも目を覚ましていた
動けないのか、動く事すら億劫なのか…
少女は1人、天井を眺めていた
そこに部屋主が帰ってきて、戸を閉めるやいなや騒ぎ出す
「オハヨオハヨオハヨオハヨ--」
クラン「⋯⋯⋯」
「あ、オキテル?」
問に頷くと、部屋主が持ってきた昼食を置き
こちらに来るように手招きをする
素直に従う少女
ゆっくりとした足取りで椅子に座ると、じっと食事を眺めた
「お腹、空いてナイ?」
クラン「⋯⋯これ、食べていいんですか?」
「キミノ分」
見た事のない食事に、どう手をつけたらいいか分からないまま
少しの時間がすぎる
スプーンもフォークも、彼女には全てが初めてだった
「⋯⋯食べないノ?」
クラン「えっと……」
「ン?」
クラン「⋯ごめんなさい……」
そう言って、俯いてしまう
だが、何も言われないため、彼には何も伝わらない
どうしたものか、と思考を巡らせ 漸く答えに行き着く
「ワカンナイ?」
クラン「はい…」
「じゃあ、今日は俺がタベサセテあげるネ。見て覚えて」
そう言うと、銀のスプーンでスープを1口掬う
湯気を立てるスープを息で冷まし、口元へ運ぶ
少しの遠慮を見せながら口に含むと、未知の味が口に広がった
目を輝かせる少女に、彼は複雑な気持ちが湧き出る
「オイシ?」
クラン「おいしい…Aさんの、パンと同じ…温かい……」
「パンヤサンのパンおいしいヨネ」
クラン「うん…凄く美味しいの…」
「コレもね、パンヤサンが作ってたヨ」
クラン「⋯⋯Aさんは?」
「大丈夫。キミ程重症じゃナイヨ」
クラン「⋯よかった…あの時、ね…変だったの、私」
そう言って、ぽつりぽつりと語られるあの一件
みどりいろはそれを、静かに頷いて聞いていた
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_teto__teto_(プロフ) - とくめいさん» ありがとうございます。これからもっと増えると思いますが…何卒、よろしくお願いします┏● (2023年2月27日 21時) (レス) id: 81bd52e713 (このIDを非表示/違反報告)
とくめい - コメント失礼します。こちらのお話めちゃ好みに刺さりました!v.v.tの登場も熱い!応援してます更新ファイトです!(プレッシャーになりませんように…) (2023年2月26日 19時) (レス) id: e3803de454 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:_teto__teto_ | 作成日時:2023年2月14日 18時