虜囚ノ虎ト深紅ノ姫君ー 激昂 ー ページ47
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中島が軟禁されている
「君は......如何して此処に」
廊下に立って居た人物は、モンゴメリだった。先程は中島の事を無視していたが、彼女は鮮やかな紅毛を靡かせ、囚われの身である彼の姿を深緑の瞳で映すと、口角を上げてクスっと笑う。
彼女は手に、何かを持っていた。
「この気持ち悪いゴミを燃やすよう言われたの。ついでにかわいそうなトラ猫ちゃんの泣き顔を見ようと思って」
其れは布が引き裂かれた人形だった。フィッツジェラルドが破壊した、Qの詛いを発動する引金。破壊された人形の方は、ケラケラと不気味な嗤い声を上げていた。
「此処を開けてくれ!
中島は扉に掛け寄ると、彼女に室を開けて欲しいと頼む。
すると、モンゴメリの
深緑色の瞳に落とされた暗い影は、中島の事を真っ直ぐに見詰めると、「皆って 貴方のお仲間でしょ? あたしのじゃなく」彼女は遠回しに、自分には関係が無い、と中島に向かって言った。
「そうねぇ......下の街がみいんな燃え尽きて、貴方が独りぼっちになった後でなら出してあげてもいいわ。その頃なら、貴方にもあたしの気持ちが少しは判るでしょうから」
「......っ」
彼女は笑った。
冷たい表情で、ニタリと笑っていた。
「なら 逃げよう」
中島はモンゴメリの気持ち全てが判る訳では無い、けれど彼女と中島は境遇が似ていた。
同じ様に孤児院で暮らし、虐げられ乍、それでも今日を生きて来た。互いに境遇が似ているから、中島は彼女が苦しんでいた事は想像出来る。
痛みが判る。
だから、彼は此処から一緒に逃げようと言ったのだ。「君の気持ちは判るよ、僕だって昔は」中島は、彼女に自身が経験してきた過去を離そうとした。
然し、彼女は中島の言葉を遮る。
「やめて! 判った風な事を言わないで、あたしが居る場所のことを恵まれた貴方に判って? あたしには組合の他にないの!」
激昂は止まらない。
「ねぇ 売れ残りの
彼女は自分の服の袖を捲る。
白い肌には、見るに耐えない痛々しい火傷の痕が残っていた。
「この傷の痛みと苦しさがどんなものか 貴方に想像できて!?」
中島は俯いた。
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ミサぽん(プロフ) - 夜宵 ―ヤヨイ―さん» 有難うございます!コメント、本当に嬉しいです。続編も頑張りますっ (2019年7月17日 23時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
夜宵 ―ヤヨイ― - 第二シリーズお疲れさまでした(拍手) 続編も心待ちしております、ミサぽんさんのペースでこれからもよろしくお願いします。 (2019年7月17日 23時) (レス) id: 03eb66dcd7 (このIDを非表示/違反報告)
ミサぽん(プロフ) - 夜宵 ―ヤヨイ―さん» コメント有難うございます、何回もしてくださり 本当に嬉しいです! 楽しんでもらえるよう 頑張りますっ (2019年6月16日 16時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
夜宵 ―ヤヨイ― - 早速の続編!ありがとうございます!!(感涙) (2019年6月16日 16時) (レス) id: 03eb66dcd7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミサぽん | 作成日時:2019年6月16日 15時