銀魂 光翼鳥の剣 黄金に輝く月 上

第６幕　幼馴染の記憶 ページ7

「プールで溺れて記憶喪失・・・・・・そんなん人生で初耳ッスね」

疑わしげな表情でそう呟いたのは、来島また子。

神楽の言った『攘夷にちなんだ場所』とは、当然鬼兵隊の事だったのである。

しかし高杉は勿論、一見単純に見えるまた子でさえも、Aの記憶喪失を信じなかった。

確かに、プールで溺れて記憶喪失など、普通は有り得ない滑稽な話だ。

すぐに信じられないのも無理はないかもしれない。

また子は神楽をビシッと指さしながらハッキリと言った。

「んな事言って私達を動揺させようったって、そうはいかないッスよ！！

　さっさと種明かしした方が身のためッス！！武市先輩！！カメラは見つかりましたか！？」

「中々見つかりませんねェ・・・。服の中に隠し持ってるのではないですか？」

また子の言動と、武市がカメラを探している事からして、

どうやら彼らはこれがドッキリか何かかと思っているらしい。

そんな彼らの様子を見て、神楽はムッと顔をしかめる。

「私嘘ついてないアル！！ホラ、ちゃんとAを見るネ！！」

神楽が指す先に居るAは、ソファに座りながら、物珍しげに辺りを見回していた。

Aは何度もここに来ているのだから、このような行動をとるはずがない。

それに、ただ彼らを騙すための演技というには、あまりにも上手過ぎる気がした。

「・・・確かに本当に記憶喪失にも見えるが・・・Aは何でもそつなくこなすでござろう」

「演技とかも上手そうってか？・・・ったく、面倒臭ェな・・・・・」

疑り深い万斉の言葉に、銀時は呆れたようにがりがりと頭を掻きながら言った。

「オイ、高杉。てめーはどうなんだ？信じねーってんなら協力も仰げねーし、

　これ以上ここに居る意味もなくなってくんだよ。早いとこ記憶戻してやりてーからな」

「・・・・・・・・」

高杉は何も答えずに、銀時を正面から見やる。

どうやら、嘘をついてるか否か、見極めているようだ。

だがやがて、煙管を口から放して呟いた。

「・・・まァ、てめーらが本当に俺達を騙そうってんなら、もっと汚ねェ事するだろうからな」

「オイ、どーいう意味だ。それ」

ギャーギャーと突っかかってくる銀時。

そんな彼を無視して、高杉はAに向き直った。

Aは怖々とした様子で高杉を見上げる。

「俺は高杉晋助。お前ェの幼馴染で攘夷志士。今は鬼兵隊の総督をやってる」

「幼馴染で、攘夷志士・・・」

その言葉が、とても頭に響いた。

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