銀魂 光翼鳥の剣 黄金に輝く月 上

第４５幕　主　（紫京サイド） ページ46

「ねぇ、こんな事はもう止めて」

A様は御門様の肩に手を置きながら、訴えかけるようにおっしゃった。

二方の姿は、まるで対等の関係の友人同士の様で、思わず動揺を覚える。

朔夜も後ろでボソボソと「ちょっと、嘘でしょ・・・」等と呟いて、驚きを露わにしていた。

それ程有り得ない事なのだ。

上条家ともあろう御方が、対等の目線で家臣と話す事など。

「月の国を再建しなくても、あなた達はここで十分に生きていけるはずだわ」

A様の言葉に、御門様は可笑しそうに笑いながら首を横に振った。

「ふふ・・・恐れながら。それを今のA様におっしゃられても説得力はありません。

　貴方様が今どうしてこんな所におられるのか、お忘れですか？」

「・・・っ・・・！！」

A様はここにいらしてから、何度も痛々しげな表情をされている。

それ程、あの方にとって、今迄の居場所は大切なものだったのだろうか。

感情に乏しい私には、よく分からなかった。

今度はA様が言葉を失われる。

・・・確かに、この国がかぐや族を歓迎するというのであれば、

A様は真選組を追い出されはしなかったはずだ・・・・・・恐らく。

A様も、それに気が付かれたはずだ。

「かぐや姫」のあの姿を目の当たりにしたこの国は、

決してかぐや族を歓迎してくれはしないだろう。

・・・あれが、かぐや姫の正体だと思われるのも、迷惑な話だが。

私以外の者があれをかぐや姫の正体だと思っているのなら、そっちが真実になるのだろうか。

「どうか、もう人間を庇うのはお止め下さい。

　もうお分かりでしょう。彼等は護るに値しない存在です」

御門様は、形勢逆転とばかりに自信に満ち溢れた声で言った。

護るに値しない存在とは・・・随分と自分自身の事を棚に上げた発言だ。

そう思っていると、次のA様のお言葉が妙に響いて聞こえた。

「・・それは私達かぐや族にも言える事よ。

　あなた達がどれだけの人を傷つけてきたか、忘れたとは言わせないわ」

それはあまりにも私と同じ考えだった。

人間の味方をする訳では無いが、それが正論だと思えた。

私は本当に御門様に付いて行くべきなのだろうか。

ふと、そんな事を考える。

「・・・」

　----そうやって生きると決めたのは、あなたの意志だったと私は思うよ！！----

快活にそう言ったあの方の姿が思い出された。

あの姿をもう一度見たいと思うのは、何故だろうか。

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