第25幕 目覚めと疑惑 (主人公サイド) ページ26
「・・・・・!!」
暗闇の中で、誰かが呼ぶ声がする。
誰・・・・・・・・・・・・?
私はその人物を確かめるために、重い瞼をゆっくりと上げた。
差し込む明るい光。
そして一番に視界に入ったのは・・・・・・・・。
「神楽・・・・・ちゃん・・・・?」
「A!!」
神楽ちゃんは、瞳を涙で潤ませて私に抱きつく。
私は驚いて、思わず息をのんだ。
周りの目も気にせず、本当に子どもみたいに神楽ちゃんは泣きじゃくる。
「神楽ちゃん・・・・」
私はもう一度彼女の名前を呼ぶと、落ち着かせるようにその華奢な背を撫でた。
すると、神楽ちゃんは更に声を高めて泣く。
今迄泣くのを相当我慢していた、といった様子だ。
・・・・よく覚えてないけど、心配かけちゃったみたい。
そう思いながら、とりあえず辺りを見回す。
白く清潔な雰囲気をたたえた空間。
病院だ。
「私・・・・・・・どうしたんだっけ?」
私は、傍らに静かに佇んだ銀時に向かって尋ねた。
隣では、新八君が眼鏡を外して目元を拭っている。
確か私・・・・近藤さんと一緒にプールに行って・・・・。
バランスを崩してプールに落ちた。
それがとても怖かったのは覚えてる。
そして・・・・・・。
----あの・・・あなた達は・・・誰ですか・・・・・・・・・・?----
ハッと、私自身が言った言葉が蘇る。
そうだ。
私、記憶喪失になったんだ。
それから、それから・・・・・・。
妙ちゃん達と話して・・・そこからの記憶が曖昧だ。
どうやって、記憶を取り戻したんだっけ?
私は説明を求めて、銀時の言葉を待った。
彼は一瞬お医者さんと目を合わせた後、私に向き合って尋ねる。
「何があったか・・・覚えてないのか?」
彼の表情は、恐ろしいほどに真剣だった。
全く覚えていないという訳ではないけれど、彼の剣幕に押されて私は思わず頷く。
すると、銀時は僅かに逡巡してから言った。
「お前は・・・・・・プールに溺れて気絶したんだ。
んで、いつまでたっても目覚めないから、病院行きって訳だよ」
「え・・・・それだけ?」
「あァ。・・・ったく、プールで溺れただけとは言え、心配したんだからな」
銀時はそう言って、私の髪をくしゃくしゃと乱した。
その顔には、安心しきったような笑顔が浮かんでいる。
・・・どういう事・・・?
私は確かに記憶喪失になった筈だ。
それなのに、彼はそんな事一言も言わなかった。
どうして・・・・・・?
第26幕 隠された時間 (主人公サイド)→←第24幕 蘇る記憶
166人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なーさん(プロフ) - テスト頑張ってください!! (2014年11月16日 18時) (レス) id: d351fb8f9b (このIDを非表示/違反報告)
List(プロフ) - 頑張ってください!!いい結果待ってます!!^^ (2014年11月16日 18時) (レス) id: 03b1c2db39 (このIDを非表示/違反報告)
声優志望の塊 - テスト頑張って下さい!!私も期末テストがァァァ…(汗)お互い頑張りましょう!! (2014年11月16日 16時) (レス) id: 6657ffd95b (このIDを非表示/違反報告)
リア - アニさん» 春雨は一応出てくる予定です!!メインではないので、申し訳程度ですが・・・・・。楽しみにしていてください!! (2014年11月16日 14時) (レス) id: d14a04e072 (このIDを非表示/違反報告)
アニ - 御返事ありがとうございます!紫京登場しましたけど、春雨がでてくるのでしょうか?p (2014年11月9日 14時) (レス) id: a3f197bbbb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:リア | 作成日時:2014年9月18日 20時