銀魂 光翼鳥の剣９ 月下乱舞 上

第３３話　刀という名の化け物 ページ33

「あああああああああ！！」

空中を飛ぶバイクのようなものに乗った岡田。

彼は完全に紅桜と一体化した右腕を構えながら、

桂の仲間の攘夷志士達が乗る船を一直線に斬っていく。

それは、正直言って無意味な事かと思われた。

紅桜がただの刀であるのなら。

岡田が船を完全に横切った瞬間。

ドォンッ、と爆発が起こる。

それと同時に、斬られた船が炎上しながら転落していった。

別の船に乗っていた攘夷志士たちが、顔を青ざめさせる。

「刀一本で船を・・・！？」

「ば・・化け物か！？」

「・・・・」

鉄矢は、その様子を屋根の上で無言で眺めていた。

そしてもちろん、外に出てきた神楽たちも。

神楽も志士達と同じように、顔を青ざめさせる。

「あ・・・あれは・・・」

神楽は、自分の昨夜の記憶を手繰り寄せる。

鬼兵隊に乗り込んだ晩、戦っている中で神楽は妙な部屋に入り込んだ。

いや、部屋という表現は正しくない。

そこは、まるで工場のようだった。

複雑な機械。

毒々しい液体と・・・刀の入った大量の巨大カプセル。

その後すぐに気絶させられてしまったので、詳しいことは分からない。

だが・・・。

岡田の右手と化した刀の怪しげな色は、確かにカプセルの中の刀と同じだった。

武市とまた子が、それぞれに小さく呟く。

「まさか・・・あれ程までになるとは・・・」

「・・・晋助様・・・・・」

「・・・・・・」

神楽は複雑な表情で二人を見やった。

その時。

「わああああああ！？」

また船が大きく揺れる。

考えに耽っていた神楽は、当然バランスを崩した。

「あっ・・・！？」

船の破壊された部分から、海に向かって体が傾いていく。

「！？」

また子や武市の焦った顔が視界の隅に映った。

神楽は無駄と知りながらも、船に向かって手を伸ばす。

だっ・・・誰か！！

そう願った瞬間だった。

彼女の手が誰かにしっかりと掴まれる。

神楽はギュッと瞑っていた目を片方あけた。

そして、そこにいた人物に目を見開く。

「しっ・・・新八！？」

新八は神楽を引き上げようと奮闘しながら、歪んだ笑みを浮かべる。

「お・・・お待たせ・・神楽ちゃん」

「き・・貴様・・・・何者ッスか！？」

新八とは面識のないまた子が、銃を構えながら叫んだ。

その銃口はカタカタと震えている。

撃つべきなのか、決めかねているようだ。

いや、本来は撃つべきなのだが・・

「何なんスか・・本当に・・」

また子は泣きそうな声でそう言った。

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