銀魂 光翼鳥の剣９ 月下乱舞 上

第２７話　慰謝料　（鉄子サイド） ページ27

雨の中を、私は一人歩いていた。

頭上にはどんよりとした空が広がっているが、

ずっと刀鍛冶ばかりしてきた私には、その色を何と表現していいのか分からない。

万事屋からは、半ば追い出されるような形で出てきた。

当然の結果だ。

兄者の目的を知った上で、今までずっと黙っていたのだから。

事が露見するのを恐れて、兄者が人殺しに加担するのを見て見ぬふりして・・・。

それで今更兄者を助けてくれって？

都合がいいにも程がある。

私は自分がどれだけ最低だったか思い直して、唇をかみしめた。

ため息も出なかった。

それでも・・・兄者が機械を研究してまで必死に作ったあの刀を、あんな事に使われるのは・・

悔しくて仕方ない。

何もかもが遅すぎた。

私は突き返された慰謝料をそっと見つめる。

そのせいで、目の前がおろそかになっていたのだろう。

私は通行人にぶつかってしまった。

「気をつけろ、コノヤロー！！」

機械的に頭を下げる。

まるで、第三者の行動を見ているような気分だ。

心も体も重かった。

暫くぼんやりして、慰謝料を落としていた事にようやく気が付く。

私はそっと慰謝料を持ち上げた。

その時。

「！！」

私はその中に見慣れない紙切れが混ざっているのに気が付く。

そこには汚い字でハッキリと、



鍛冶屋で待ってろ

　 万事屋



そう書かれていた。

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