銀魂 光翼鳥の剣９ 月下乱舞 上

第２１話　危険な看病　（銀時サイド） ページ21

雨が降っていた。

「あ、気が付きました？良かった」

俺が目を覚ました時、最初に移ったのは妙の姿だった。

ボーっとする頭の中で暫く考えてから、自分が布団に寝かされている事に気付く。

体中は包帯でグルグル巻きにされていた。

俺はボンヤリと尋ねる。

「お前・・・何でここにいんの？」

「新ちゃんに頼まれたんです。看病してあげてって」

妙はそう言って薙刀を手に取った。

軽く目をこする。

それだけの動作も、怪我のせいで辛く感じた。

あの時新八がいなかったら、真選組が現れなかったら、本当に危うかったかもしれない。

・・・っていうか、薙刀？

「・・・何で看病する人が薙刀持ってんの？」

「新ちゃんに頼まれたんです。絶対安静にさせて、出かけようとしたら止めてくれって」

「止めるって何、息の根？」

今にも逃げ出したくなるような衝動に駆られたその時だった。

「妙ちゃん、ジャンプを買ってきた」

襖をガラリと開けて、誰かが入って来る。

この声は・・・九兵衛？

「お前まで・・・何で・・・」

九兵衛はビニール袋を床に置くと、軽く目を瞬いた。

「あの怪我で・・もう目が覚めたのか。ゴキブリ並みの生命力だな」

「・・ねェ、それ褒めてんの？けなしてんの？」

「あァ、何故僕がここにいるかだったな」

九兵衛は何気なく話をそらす。

・・いや、全然何気なくなかったかもしれない。

思いっきりはぐらかされたかもしれない。

九兵衛は俺を見下ろすようにしながら言う。

「人手は多い方がいいと、新八君に言われてな。今日は丁度予定も無かったので来た」

「ふーん・・・とりあえずその刀しまってくんない？」

九兵衛の手には、よく手入れされた刀がしっかりと握られていた。

俺は溜息をつきながら尋ねる。

「新八や神楽はどうした」

それを尋ねると、二人の顔が一瞬曇った。

「あの・・用事でちょっと出てます」

何かを誤魔化す様な妙の口調に、俺は眉をしかめる。

「オイ、お前等なんか隠して・・・」

そう言って、体を起こしかけたその時だった。

頭に何かが刺さったような衝撃が走る。

「安静にしなんし。傷口が開いたらどうするつもりじゃ」

開いた襖の方に目を向ければ、そこにいたのは・・。

「月・・じゃなくて、アバズレ」

「オイ、何で今言い直した」

クナイがもう一本頭に突き刺さる。

安静どころか、傷が増えてんだけど。

その後、さっ・・じゃなくて、ストーカー女まで来るとは、その時の俺には知る由もなかった。

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