銀魂 光翼鳥の剣９ 月下乱舞 上

第１７話　心境の変化 ページ17

高杉はある時を境に突然変わった。


数ヶ月前。


「オイ、団長。アンタ昨日の夜中に何してたんだ？」

「阿伏兎。俺もう団長じゃないってば」

「今さら呼び方を変えるなんざ出来ねェよ・・・って話をそらすな！！」

神威と阿伏兎は、朝から二人で騒がしくしていた。

いや、実際に騒がしくしているのは阿伏兎だけで、神威の方は相変わらず飄々としている。

また子はそんな二人を、頬杖をつきながらつまらなさそうに眺めていた。

「武市変態、あの二人いい加減うるさいんスけど」

「変態じゃない、先輩です」

「その桂みたいな喋り方やめてくれないッスか？何かウザいッス」

二人はそう言いながら、静かににらみ合う。

仕方なく、万斉が間に入った。

「まァまァ・・落ち着くでござる」

今にも互いに飛びかかりそうなまた子と武市をなだめる万斉を見ながら、神威はニコリと笑う。

「だってさ。阿伏兎も落ち着きなよ」

「アンタなァ・・・」

阿伏兎は頭を軽くかきながら溜息をついた。

「どうやら、俺はあの鬼の副長と気が合いそうだ。苦労人同士」

それを聞いて、神威は軽く首を傾げる。

「土方十四郎？」

「そーだ」

阿伏兎は短く返事をした。

そんな彼の方に、万斉が振り返る。

「それは拙者も同感でござる。苦労話が絶えないであろうな」

「万斉先輩、その苦労の原因って私達じゃないッスよね！？」

また子は慌てたように叫んだ。

そして、その問いに答えたのは神威。

「どう考えても、アンタ達でしょ」

「いや、お前には言われたかねーよ」

そんないつも通りの朝だった。

だが・・・


「真選組を潰す・・・？」

午後、突然高杉によって話された計画に、皆が呆然とした。

思わず問い返した武市に向かって、高杉は頷く。

「あァ。もう既に真選組の参謀をこっちに引き入れてある」

「まっ・・待って下さい、晋助様！！」

また子はガバッと身を乗り出すようにして、高杉に抗議した。

「いきなりどうしたんスか！？向こうにはAだって・・・」

「これが、俺達の本来の姿だ。・・・違うか？」

高杉の顔には、それ以上の反論を認めない、と書いてあった。

また子はグッと押し黙る。

「・・・・・・」

万斉や阿伏兎でさえも苦々しげにうつむく中、神威だけは高杉の姿をじっと見つめていた。

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