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第16話 彼の願い ページ16

船内には人がほとんどいなかった。

そのおかげで、スムーズに進むことができる。

Aは足音を立てないように気をつけながら、懸命に走った。

しかし、あと少しで船首に到達するという所で、何者かに腕を強くひかれた。

「きゃっ・・・!?」

Aはそのまま背を壁にぶつけられる。

じんとした痛みが背中に広がった。

だが今のAにとっては、痛みよりも驚きの方が大きい。

・・・全く気配を感じなかった。

どうやら相手は相当の手練れの様だ。

Aは顔をゆっくりとあげる。

そして、目の前に居た人物に目を見開いた。

「万斉さん・・・!!」

Aは壁から背を離して動きかけたが、万斉の手によってまた壁に押さえつけられてしまう。

両手も壁に押し付けられた。

「・・・っ・・!!どういう事ですか、万斉さん!!」

Aは万斉を睨みつける。

だが、万斉は全く表情を変えないまま、右手でAの頬に触れた。

つまり、Aの手を拘束しているのは彼の左手だけという事になる。

しかし、それでも壁に押さえつけられたAの手はビクともしなかった。

万斉はAの目を覗き込むようにしながら、ようやく口を開く。

「・・・このような状況で相手を睨むのは止めた方がいいでござる」

そう言いながら、彼はAの目元を親指でそっとなぞった。

「その視線・・・男を誘うには十分すぎる」

「なっ・・・!?」

Aも人一倍疎いとはいえ、そういう言葉の意味を知らない訳では無い。

彼女は狼狽した表情で万斉を見上げた。

だが、すぐに表情を元に戻し、万斉を問い詰める。

「もう一度聞きます。・・どういう事ですか?晋助は・・皆は一体どうしたというのですか!!」

「これが、元々の我らの姿でござる」

「!!」

万斉は思った以上にあっさりと答えを返した。

「この腐敗した世界を壊す。晋助は再び・・そう決めたんでござる」

ハッキリとした口調とは裏腹に、万斉の瞳は揺れていた。

そして、それに気づかないAでは無かった。

「質問を変えます。・・万斉さん、どうしてそんなに辛そうなんですか?」

「・・・・!!」

万斉の中で、何かが弾けた。




山崎は辻斬りの件を調べながら、考えに耽っていた。

動乱の時、彼の問いに答えた万斉の言葉が思い出される。


『何で・・助けるん・・・だ』

『・・本当は・・』


万斉は、微かな声で答えた。


「本当は・・晋助を救って欲しいからでござる」

第17話 心境の変化→←第15話 渦巻く迷い



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設定タグ:銀魂 , 逆ハー , 微原作沿い   
作品ジャンル:アニメ
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☆chelly☆(プロフ) - 私も土下ザムライはまってますwwwありがとうごさます!待ってますね!高杉も大好きなんで、ドキドキですよwww (2014年5月17日 0時) (レス) id: 276513cb97 (このIDを非表示/違反報告)
わたがし - 身体が丈夫っていいですね。私なんて毎年インフルエンザにかかるんですよー! 本当、私の体どうなってるんでしょうねぇ?? ちなみに私は社会苦手です。 (2014年5月16日 12時) (レス) id: 32baeea52c (このIDを非表示/違反報告)
リア - ☆chelly☆さん» わああああ・・・ありがとうございます!!かなり興奮してます!!ついでに土下ザムライにハマってます!!更新早めにできるように頑張ります!!! (2014年5月15日 23時) (レス) id: 1a8797e650 (このIDを非表示/違反報告)
リア - カエルzさん» 生きてますよ(一応)!!ご安心ください♪きっと彼なら戻ってきてくれる・・・・・・・・はずです!! (2014年5月15日 23時) (レス) id: 1a8797e650 (このIDを非表示/違反報告)
リア - わたがしさん» 大丈夫ですよー!!私身体だけは人一倍丈夫なので!!ここ数年風邪とか全くひいてないです!!心配してくださってありがとうございます!!感激なのです!!・・・・ちなみに、どうでもいい話ですけど、私理科苦手です。 (2014年5月15日 23時) (レス) id: 1a8797e650 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リア | 作成日時:2014年4月21日 20時

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