【文スト】ただ、みんなを支える為だけに (ページ37)

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三十六 ~過去~ ページ37

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あれは、私がまだ小さい頃_____

先生「ご飯の時間ですよー！」

「「「はーい！」」」

私は、生まれた時からこの孤児院で育った。
ダンボールの中に捨てられていたところを、この先生に拾われた。
一緒に、名前の書いた紙切れも入っていたらしい。

私以外にも、孤児院には子供がたくさんいて、みんなと友達になった。

小さい頃の私は活発で、女の子よりも男の子と一緒にいた時間が多かった。

真「A！サッカーしよーぜ！」

昴「おれもおれもー！」

「真緒、昴！いーよ！うけてたつ！」

薫「またサッカーするのー？3人ともげんきだね」

幸「わ、わたし…みててもいい…？」

「いーよ！」

いっつも一緒にいたのは、女の子みたいな名前の男の子、"まお"。

ちょっと頭の良かった"すばる"。

男勝りなところが少しあるけど、凄く仲がいい"かおる"。

体が少し弱い、女の子って感じの"さち"。

みんな私の親友だった。

「とりゃっ！」

真「うわっ！このやろっ！」

昴「もーらい！」

「わっ！」

幸「わー！昴くんすごーい！」

薫「はい、昴のかちー」

いつも頭の良い昴が、隙を見てボールを奪い、ゴールを決める。

私と真緒は、その度に悔しがってた。

「昴めー！もっかい！さっちゃん！ちゃんとみててね！」

幸「う、うん！」

真「A！昴！おれもリベンジだー！」

薫「さわがしいぞあんたら2人」

昴「なんどでもー」

結局は昴に負けちゃうけど、みんな楽しく遊んでた。

此処にきて、少し成長してから1番最初に声をかけてくれたのは真緒。
赤ちゃんから孤児院の私は、途中から入ってくる人達に、少し怯えていた。

そして、隅っこで絵本を読んでいた時、真緒が声をかけてくれた。

「いっしょにあそぼうぜ！A！」と、初めて、名前を呼ばれた。

親からも、先生からも呼ばれたことのない、私の名前を。
先生はいつも忙しいから、私には構ってはくれなくて、名前なんて呼ばれる機会がなかったから。

「おれ、真緒ってゆーんだ！よろしく！」って手を差し伸べられたのを覚えている。

その手を、私は握った。
凄く、心が温かくなった。

そのまま引っ張られて、外に出て昴と仲良くなり、薫からも声をかけられて、さっちゃんとも仲良くなった。

「あっ！そろそろごはん！」

真「お、おい！待てよ！」

昴「おれもいくー！」

薫「はぁ…うるさいね」

幸「みんなといるとたのしいね」

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