三十三 ~過去~ ページ34
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芥「次は黒蜥蜴という武闘組織の処へ行く。……安心しろ。黒蜥蜴はみな、良い人だ」
「私は大丈夫です!」
これは強がり、と言うのか…。
先程のような綺麗な笑顔ではなく、貼り付けたような笑み。
紫は、抱え込むのだな…。
僕も、部下の事を分かってやらねばいかんな。
すると、前方に銀を見つけた。
銀「!兄さん……あ、え、っと…兄から聞きました…紫、さん、ですよね…?銀です…」
「はい!紫Aです!芥川さんの妹なんですね…!さん付けなんてしなくていいですよ。敬語もいりません!銀さん!年同じくらいですし」
銀「…じゃあA…私だけっていうのは悪いので…A、も…」
「分かりました。えっと…銀!」
銀「…何…?」
「何でもない!銀!」
銀「…?」
嬉しそうな紫。
銀も何処か嬉しそうだ。
女が増えて楽になったのだろう。
芥「紫、入るぞ」
「あっ、はい」
入ると、そこには拷問班以上の黒服の数。
僕は、広津さんに挨拶をした。
続けて紫も挨拶をする。
広「紫、か。私は広津だ。紫は治癒能力を…?」
「私にもまだよく分かっていないのですが…そうらしいです」
立「俺は立原道造だ。アンタの部下。よろしくな、紫の姐さん」
「部下!?」
広「此処にいる黒蜥蜴は貴方を上司と見る。貴方には、私達を動かす権利がある」
「そ、そんな…命令とか、出来ない…」
紫は自信がないのか、俯いている。
ふと時計を見ると、仕事の時間になっていた。
芥「すみません。仕事の時間です。紫も行くぞ」
「は、はい!失礼いたしました!また伺います!」
早足で歩く僕に、紫は急いで付いて来る。
「何処へ、行くんですか?」
芥「太宰さんという人の処だ。太宰さんもまた、僕を拾った人…」
「芥川さんは拾われたんですか…」
芥「…何れ話す」
あまり思い出したくない。
自然と顔が歪むのが分かった。
僕は、後ろで同じように、過去を思い出し、顔を歪ませる紫には気づかない。
「あの…太宰さんというお方はどこに…?」
芥「…判らぬ」
「さ、探すのですか!?」
すると、紫が落ち葉を拾い上げ、呟いた。
「はぁ…この葉が大きくなって、空を飛んだら少しは楽なのに…」
何気ない言葉だったのだろう。
だが、その言葉には力があった。
その葉は大きくなり、遂には僕らの倍くらいになり、空を飛んだ。
「う、そ…」
芥「これは…『異能力』…」
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栗ようかん(プロフ) - 悠寿さん» わ、すみません!指摘ありがとうございます!\(°Д° )// (2018年2月13日 0時) (レス) id: 2cd9c9184b (このIDを非表示/違反報告)
悠寿(プロフ) - 1話目の与謝野さん明子じゃなくて晶子ですよ! (2018年2月11日 19時) (レス) id: 9887905400 (このIDを非表示/違反報告)
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