二十九 ページ30
・
「ふぅ…今回はゆっくりだったからまだ楽だ…」
私は、そろ〜っとマフィアの中に入った。
芥川さんの処へ歩いていると、話し声が聞こえた。
黒蜥蜴と、樋口さんだ。
私は物陰に身を隠しながら話を聞いた。
樋「芥川先輩は切り捨てられた」
立「だが、アンタ一人如きで何ができるんだ」
樋「何も出来ません。
でも、何もしないなんて、私には無理です!!」
そう言った樋口さんは、外へ駆け出して行った。
な、んの…話…?
芥川先輩が切り捨てられた?
首領は何を考えて…。
ガタッ
「っ…!」
立「誰だ!!」
動揺して物音を出してしまった…!
今度は誰の許可もなかったから、完全なる不法侵入。
しかも敵のアジトに。
でも、もう隠す術がない。
私は恐る恐る物陰から出た。
銀「…!」
立「A姐さん…!」
「すみません。話を聞かせてもらいました」
広「Aは凄いな…芥川くんの危機となると、それを察知するのか、もう此処に…」
「…危機、とは…どのようなことですか」
私は平然を装って聞く。
此処でオドオドしたらダメだ。
立「…」
広「…話せ」
立「!……カルマ・トランジットの残党が雇った国外の傭兵に、芥川が拐われたんだ」
「カルマ・トランジットに…!?」
数が揃ってる上、重火器でこれでもかって程武装してるらしい。
芥川さん…っ!
私は樋口さんの言った方へ駆け出そうとした。
でも、銀に止められる。
「銀…!貴方…っ」
兄でしょ、という言葉は、立原くんに遮られた。
立「いくらA姐さんでも…!」
「立原くん」
立「!」
「私、たとえ敵でも、仲間は大切。もちろん探偵社も。だから、仲間が危険な時は、絶対助ける。私が盾になる。たとえ知り合ったばかりの樋口さんでも、大事な元上司の部下で友達。黒蜥蜴も、大事な人達。
みんなを守る為のこの能力と身体だもん」
広「(…森医師が欲しがるのも分かる)」
私は、銀の手をそっと振り払い、駆け出した。
でも、一度立ち止まって、振り返る。
「…いくら舐めていても、君達にとって弱くても、上司は上司。
尽くしなさい」
私の、初めての命令。
「敵が生意気言ってすみません」と、苦笑して、私は再び駆け出した。
立「A姐さんが、初の命令…」
銀「…」
広「…黒服を集めろ」
立「!…おう!」
・
55人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
栗ようかん(プロフ) - 悠寿さん» わ、すみません!指摘ありがとうございます!\(°Д° )// (2018年2月13日 0時) (レス) id: 2cd9c9184b (このIDを非表示/違反報告)
悠寿(プロフ) - 1話目の与謝野さん明子じゃなくて晶子ですよ! (2018年2月11日 19時) (レス) id: 9887905400 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ