【文スト】ただ、みんなを支える為だけに (ページ27)

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樋口さんを探し回っていたら、広津さんと立原くんが女子トイレの前に立っていた。

えっ…女子トイレですよそこ…。

もしかしたら樋口さんがいるかも…！

立原くんと広津さんが私に気づいた。
でも、挨拶は後回しで、樋口さんを呼んだ。

中を見ると、銀が樋口さんに襲いかかろうとしていた。

「銀っ！」

銀「！」ビクッ

樋「っ！貴方達は…！」

襲いかかろうとしていた銀と、広津さん達に気づいたのか、樋口さんは驚いていた。

私は樋口さんの前に、庇うように立った。

「…何してるの、黒蜥蜴」

銀「…」

樋「上が……私を始末する、と？」

広「今はない。だが明日は判らぬ」

「…どうせ、芥川さんがいない今は畏怖も崇敬もないからでしょう？私がここにいた時も、そのようなことはあったはずです。何故樋口さんに…」

広「…君とは環境が違う。いわば、仲良しだった、言えばいいのだろうかね」

立「あんたは優しかったし、いろいろとお世話になったしな！」

銀「…」

広津さんと立原くんの意見に静かに頷く銀。

…少し照れる。

って、そんな場合じゃない！

「っ…だから樋口さんを始末しようと？樋口さんは、貴方達の上司です。それに、樋口さんは優しいです。貴方達と直接な関わりが少ないだけかもしれませんが…」

樋「っ…」

銀「…A…姉さんは、もうポートマフィアじゃないから……口出しは無用…」

「っ…！銀…」

銀が、ものすごく小さな声でボソボソと喋った。
周りには聞こえなかったらしく、「えっ、お前今喋った…？」と、首を傾げる立原くん。

樋口さんや広津さんも聞こえなかったらしい。

それにしても、銀に言われると傷つくなぁ…っ。

「…樋口さん、行きましょう」

樋「は、はい…」

私は樋口さんの腕を掴んで、3人の横を通り過ぎた。

…辛い。
此処を離れただけで、こんなにも人と人との心の距離は開くのか。

さっき広津さんが言ってくれたように、黒蜥蜴の人達とは仲良くしてた。
私、上の立場にいるのは苦手で、命令をするのが苦手だった。

だから同じ目線でいようと思って、黒服の人達とや広津さんとお茶を飲んだり、立原くんと下らないことしたり、銀といろいろ相談し合ったりして、仲良くしていた。

その事を言ってくれたのは嬉しかったけど、銀の言葉で、敵なんだっていうのを思い知った。

芥川兄妹にはいろいろと苦労するな…。

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