第一章 ページ12
今日ですべてのテスト結果がわかって安心したのと同時に、数学の結果の残念さにため息が出た。別に、特別悪いわけじゃないけど、やっぱりもうちょい欲しかった。
「でも、霜月くんに勝てたしいっかなぁ…」
「また勉強教えれるもんな!」
ニヤニヤという感じの笑顔でわたしのほっぺをつついてくる。
そんなにわたしのほっぺはつつきやすいのか。
わたしも奈央のほっぺをつついてみる。
「もぉー!やめてぇや!冷たいなぁ」
わたしのつついたほっぺを奈央は右手で摩る。
でも、奈央はまだわたしのほっぺを左手でつついたまま、やめようとしぃひん。
「奈央。いつまでやってるん?ほら、帰ろ。寒い」
「うん。霜月くんらもスクールバスの方行ったみたいやしなぁ」
またニヤニヤとし始めた。これは奈央の癖なのかもしれないなぁ。いや、これはいじられてるだけやな。
奈央がスクールバッグから手袋とマフラーを取り出して、机に放置し、ロッカーから紺色のダッフルコートを取り出して身に着け始めた。
「手袋とマフラー…まだ早くない?秋やで?冬どうするん」
「だって朝寒いやんか…」
わかる。朝は寒い。暖いココアとか紅茶が美味しい。けど、まだ完全装備は早いと思う。
寒がりなわたしでさえまだ、白いダッフルコートのみだ。
「いやいやいや!それでもそれはやり過ぎろ…」
「ほんまやん!長月さん冬になったらどうするん」
くすくすと笑いながら、「な?」と同意を求めてくる霜月くん。
「なんで霜月くんここにおるん」
奈央がちょっとムカついた様にわたしと同じ疑問を霜月くんにぶつける。
疑問をぶつけられた霜月くんは、少し考えてから声を出した。
「忘れもんしてん」
「何を忘れたん?」
「ん?えっとな…レポート」
そう言って霜月くんは、自分の席に向かい、机の中をガサガサとし始める。
エサを探してる動物みたい。それも小動物。
まぁ、霜月くんには言えないけど。
「…あった?」
「うん!あった!」
一つの封筒をひらひらとさせて見せる。
何かのサインだろうか。SOS的な。見つかりましたよというアピールやけど。
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作者名:ラスカル | 作成日時:2015年10月23日 18時