103話 ページ7
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場所は旧晩香堂
Aを除いた探偵社員がそこに揃っていた
事務員は避難している
「皆聞け」
福沢の一声に全員がそちらに注目する
「嘗て____三日か二日前には戦争を免れる途は在った。しかしその途も今や閉ざされた。社の鏖殺を謀るマフィア。社の簒奪を目論む組合。この両雄より探偵社を守らねばならぬ。太宰、説明を」
「はあい」
特に緊張することも無く太宰は前に出た
「組合は資金力に、マフィアは兵の頭数に優れます。正面から搗ち合えば探偵社と雖も脳天が弾け飛びます。そこで、我々は人員を守勢と攻勢に分割し奇襲戦法で姑息に抗います」
守勢は与謝野を守ることを要とした。いつでも復帰可能にする為
攻勢は谷崎の隠密能力と太宰の無効化で敵の横合いを叩く事を要として行動する
守勢は福沢、乱歩、与謝野、賢治
攻勢一組目、「甲」は国木田、谷崎
攻勢二組目、「乙」は太宰、敦
だが、国木田はその組分けに疑問を持ったようだった
「Aはどうした」
太宰はその質問に予想していてその答えを予め考え、それを思い出しているのか
それとも予想外、または考えておらずに答えを考えているのか、少し黙る
そして少ししてその答えを出した
「彼女には……少し用事があるらしくてね。母親のところにでも行っているんじゃないのかな。あまり知っていることはないんだけど……まあ、彼女のことは今は考えないで」
国木田はそれに納得し、黙った
「この戦の肝要はこの拠点を隠匿する事です。敵の異能者総出で此処に雪崩れ込まれると主勢が保ちませんから」
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「首領、襲撃は失敗です」
森はビルの最上階で中也と連絡をしていた
先程、福沢を刺客が襲った
その時に福沢には放射性追跡元素を仕掛け、それの反応で旧晩香堂の場所を割り出したのだ
「反応は良好」
「其処が探偵達の隠れ家だ。先ずは一点先取」
中也が手に持つ端末には一つの場所
探偵社が隠れ家にしている場所を示していた
「本当は彼女から聞きたかったのだけどね……君はあの子に傷を付けると少し怒りはするだろう?」
「……仕事なら、別に」
「素直じゃないねぇ」
森は目の前の少女を見つめる
普段より暗い衣服を見に纏い、その瞳は虚空を見つめていた
頭には白いリボンの付いたカチューシャを付けていた
「却説、君もそろそろ仕事の時間だ。優利井A君」
「…判りました」
Aはマフィアになったのだ
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