97話 ページ1
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「……あれ」
「はあ、起きたかい?」
Aが目を覚ました時、そこは医務室にいた
与謝野がAを見る
「アンタ、気絶前の記憶はあるかい?」
Aは記憶を思い出す
確か、あの後鏡花が紅葉に連れ去られそうになった時、国木田と賢治が来て、
マフィアと探偵社がぶつかろうとした時
組合の人間が二人来て、上空から人間が四人降ってきて
その勢いで纏めて組合に倒された、という訳だ
「……今思い出したした。鏡花ちゃんと尾崎紅葉は、敦君は、国木田さんと賢治君は……」
「アンタ、気絶して一番最後に起きて他人の心配かい?全く、アンタも体守りな……鏡花は今、行方不明だ。代わりに、尾崎紅葉が捕虜として別の部屋にいる。見るかい?」
「お願いします」
Aは寝台から出て立とうとした
だが、軽くふらついてしまう
そこを与謝野が支えた
「寝起きなんだ。無理すんな」
「……でも行きたい……です」
一瞬だけ敬語が外れるAを見て甘えが生じたのか、与謝野は黙ってそれに頷き、見送った
「あれ、もう君大丈夫なの?」
太宰が先に居た様で、入れ違いで入る
「大分ふらついているよ、君」
「……でも、一回尾崎紅葉と話をさせて頂きたくて」
「本当、君無理が好きな様だねぇ。この前やっとゆっくり休んだと思えばまた私に心配をかける。もう私が二十四時間君を見張っていた方が良いかもしれないねぇ」
太宰は壁に手をつくAの頬に手を添える
「夜中に勉強や副業、有給を使わない、挙げ句の果てには君の母の為に君自身が限界まで動く事を許さない。本当に君には困ったものだよ」
太宰はAの手を握る
「私も一緒に行こう。姐さんが何かをする術はないが、一応だ」
太宰はAの手を引いて部屋に入る
再度入ってきた太宰と、それと手を繋いでいるAに酷く驚いた様な表情を見せた
「Aか……中也がお主のガードは固いと聞いておったが、意外と男との距離は近いのかえ?」
「ガード?……」
「姐さん、意外とこの子純情だったりするのであまりその様な話は控えてくれる?」
「ああ、済まんの」
紅葉はくすくすと笑う
太宰は紅葉を睨む
「お主、意外と愉快じゃのう。中也とのやり取りもそうじゃが、太宰とのやり取りも随分愉快じゃ。太宰も重いのを拗らせているようで…矢張り闇に好かれるのじゃな」
Aは疑問符を浮かべていた
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