20話 同情 ページ21
「ま、待ってください…。いやいやいや、え?」
「信じられないかもしれないが本当だ。」
「そんなの信じられるわけ……!」
「それ以外考えられないんだ!そうじゃないと異常なまでに似た容姿も5つある小物の中から全て紫苑の物を選んだのも説明がつかない!」
「え、小物?」
「あぁ、最初学園長先生の部屋に行った時に何個かの小物を出されただろう?」
「は、はい。」
「簪も着物も口紅も……全て紫苑の物を君は選んだ……。その容姿と合わせてみても明らかに偶然とは思えない。」
「で、でも、待ってください。私のいた世界ではこの世界は物語の中の世界なんです!そんな、架空の人物の生まれ変わりなんて……。」
「架空だったら何故今君はここにいるんだ?」
「!」
「私達の世界がAのいた世界では架空の世界だということには驚いた。だがよく考えてみてくれ、それは結局Aの住んでいた一世界から見た視点だ。この世の中にはまだ明らかになっていない謎が数多く存在する。そんな、中で君は100%この世界が架空だと言えるのか?」
「…………私のいた世界では貴方達は約500年前の日本を舞台にした漫画の世界の人物で……。」
「それは、君から見た世界だ。恐らく、紫苑は約500年後の別の世界に君として生まれ変わったんだろう。」
「…………。」
頭の整理が追いつかなかった。当たり前だ、こんなこと言われて信じられるわけない。そもそも生まれ変わりなんて……。
そんなことをしばらく考えていたが土井先生の100%そう言えるのかという言葉を思い出してとりあえず納得することにした。
「と、とりあえず分かりました。」
「……六年生達が君に攻撃したのはどれだけ君が紫苑に似ていても天女だということが確かだったからだ。」
「え……。」
「天女に関しては前例は少ないが死人が出てる以上この学園では問題視されている。六年生達は今度こそ下級生を守る為に君を攻撃して反応を伺ったんだ。君が安全な人間かどうか判断するために」
「なっ……。」
「いくらなんでもやり過ぎだとは思う。けど、やり過ぎてしまう程彼等は抱え込んでるんだ罪悪感とか悲しみとか……いや、こう言ってしまうと同情させようとしてるみたいだな。すまない、そんなつもりは無かったんだが……。」
「………。」
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あい(プロフ) - これ面白いです!! 夢主ちゃん可愛い♡ 続き待ってます (2022年4月12日 8時) (レス) id: 4bcda9126d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:飴松 | 作成日時:2022年2月14日 0時