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◯中原中也



 「手前、傘持ってきてねェのかよ」


帰り道に雨が降ってしまい、濡れたまま雨宿りをしていると、不意に現れる。
彼も傘は持っていないが、重力操作でなんとか自分の輪郭の重力を歪めて雨を凌いでいた。



 「ったく、仕様がねェな」


そう云って貴方に近付き、自身の外套を脱いで貴方に羽織らせる。
肩を抱き寄せ、そのまま重力操作を使って雨を凌がせた。
そのまま彼は家まで送ってくれて、彼と雨の匂いに包まれた帰り道は、何処か特別だった。



 「あんまり体冷やすなよ?」









◯ルーシー・M



 「あら、生憎の天気ね…」


雨宿りをしているお客さんや濡れてしまった方達を見て彼女はそう一言。
『うずまき』の店内にも小さく雨音が静かに響いていて、何処か浮かない顔している貴方に気付く。



 「でも、雨の日こそ珈琲がお奨めよ。体の怠さも吹き飛ぶわ」



カウンター席に居る貴方にそう声を掛けて微笑む。
その言葉に頷くと、彼女も笑顔でエプロンの紐を結び直し、準備を始めてくれます。彼女の温かな珈琲があれば、どんなに怠くても文字通り吹き飛んでしまうかも。



 「大人しく待ってなさいよ?今、私が飛び切り美味しいのを淹れてあげるもの」









◯エドガー・アラン・ポオ
 


 「雨の日は日常に怪奇(ミステリー)が加えられていく気がするのである」


雨の日であろうが、執筆の手は止めない彼。
違うところで云えば、雨の寒さに対抗する為の膝掛けと机に置かれた貴方が差し入れた暖かい牛乳。万全な状態で筆を動かしている。


 「雨によって視界は悪く、雨音によって耳も封鎖された状態…。うむ、善い!」


雨のお陰で創作意欲が湧き出している様子。
グッと拳を握り締めて雨の良さを語った後、ズビッと鼻を啜った。


 「…ただ、実際に外に出るのは勘弁であるが……」

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作者名:花提灯 | 作成日時:2024年1月30日 13時

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