第二話 ページ3
「ならもう、暗殺の任務なんて引き受けなければいい!」
と、即座に彼は言う。
「私が首領に掛け合って相談する。
それにポートマフィアを裏切ればどうなるか、一番君が分かっていることだろう?」
確かに太宰さんの言う通りだ。
私は暗殺者でありながら、
ポートマフィアの裏切り者を処刑する任務も務めていた。
だからこの組織を裏切ればどんな羽目になるかなんて、分かりきっている。
分かりきって、いるんだ…。
「それは百も承知です。でなきゃこんな馬鹿げた事しないですよ。」
必死の作り笑いでそう言う。
どれだけ酷く引きつっているのか想像の余地もなかった。
彼の口からはもう何も出なかったが、綺麗な瞳は何か言いたげだった。
「だが……。」
太宰さんも私と同じように目を落とし、言葉を詰まらせた。
こんな太宰さんを見るのはこの組織に入って以来初めてだ。
いつも余裕があって、任務中にもお構いなくふざけて、私が辛い時には話も聞いて一緒にいてくれて…。
あぁ…何を考えているんだ私は。
ここにいる意味なんてないはずなのに…
また溢れそうになる涙を必死にこらえ、彼に背を向けた。
「さようなら、太宰さん。」
「貴方にとっての生きる意味が…見つけられますように。」
心残りなんか……きっとない。
そうだよA…早く、出よう。
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作者名:レアドロップ | 作成日時:2017年8月13日 13時