君が1番、とかふざけんな【灰谷蘭】

浮気.5 ページ5

貴「ありがとうございます、九井さん」
九井「いや、いいよ」

そう言ってくれる九井さんは優しい
反社に優しいとかあるのかわかんないけど

匿って欲しい、という私のお願いを
快く引き受けてくれたの

九井「3回目か、浮気」
貴「そうなんです…」

もう涙を流したりはしない
絶対、泣いてなんかやらない

九井「灰谷から逃げたくて俺の所に来るなんて、なかなかぶっ飛んでんな」

貴「灯台もと暗しです。それに反社の情報網を潜り抜けるには反社の力が必要だと思って」

自分から逃げた元カノが
わざわざ自分の同期の所にいるなんて

きっと考えないでしょ
足元をよく見てないからダメなのよ

そもそも彼が私を追ってくるかどうかも
分からないけどね

九井「目には目を、反社には反社を、ってか？」
楽しそうに笑いながら言う

九井「でもなんで俺なんだ？他にもいるだろ」
……正気ですか、九井さん

貴「まず、竜胆くんは無しです」
すぐ灰谷さんに連絡するから

貴「三途さんは普通に怖いし、望月さんと鶴蝶さんはあまり話したことがないし…」

三途さん、いつもハイテンションだもん
後者の御二人はまともな方だと思うけど

本当に話したことがない
初めましてで匿って下さいはヤバい奴じゃん

貴「明司さんはヘビースモーカーなので…」
喘息の私には酷だ

九井「なるほどな…マイキーは流石に無理だしな」
貴「はい、九井さんが1番安全だと思って」

九井さんはずっと前から
思いを寄せてる人がいるし平気だと思ったの

九井「俺はほとんど帰ってこないから、好きに使ってくれ。Aについての情報は…」

貴「片っ端から消してください。面倒をかけてすみません…」

九井さん忙しいのに申し訳ない…
でも灰谷さんから逃げるにはこうするしかない

九井「いや、それくらいなんて事ない」
笑いかけてくれる

そんな姿が
出会った頃の灰谷さんと重なった

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