君が1番、とかふざけんな【灰谷蘭】

浮気.4 ページ4

貴「バッカじゃないの」
家から出たはいいものの

このまま逃げていたってすぐ捕まる
なんて言ったって彼は反社の人間

情報網が幅広すぎて私じゃ欺けない
取り敢えず私はある人に連絡をした

返信が来るまでは逃げよう
牛乳を頭から浴びてるから

すぐに外には出られない
シャワーを浴びて着替えたら

どんなに急いでも5分はかかるよね
でもこの後は仕事がある

だから私を追えない
仕事が終わるまでは絶対に

信号を待ちながらスマホを見ると
返信が来ていた

…これで安心だ
匿ってくれる人を見つけた

…ホントに好きだった
言いきれるよ、誓えるよ

彼が言った通り私は
灰谷さんがいなければ生きてない

私は喘息だ
出かけたときに発作が起きてしまい

咳が止まらなくて
吸入をしても良くならなくて…

周りには人が集まり
写真を撮られ、動画を撮られ

面白い、汚い、伝染る
そんな言葉を投げつけられて

沢山人がいるのに
誰も私に手を差し伸べてくれなかった

撮られるのが嫌で、恥ずかしくて
髪で顔を隠すのが精一杯で

止まれ、止まれ…！って心の中で唱えて
焦れば焦るほど咳が治まらなくて

呼吸が浅くなって、息が出来なくなって
意識が朦朧とし始めたそのとき

温かくて大きな手が背中に添えられた
優しい声で大丈夫、と言ってくれた

それが灰谷さんだった
カメラのレンズから隠すように

私を守ってくれて
それだけでただ安心した

それが出会い
連絡先を交換して、時々会って

灰谷さんからの告白で付き合い始めた
最初は“私だけ”だったのに

いつの間にか私以外にも女の子ができて
私は灰谷さんの“1番”になった

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