episode7 『#1Girl 39』(藤ヶ谷さん) ページ28
毎朝、彼女のアラームが爆音で鳴り響くのに、彼女は一度もそれで起きたことがない。
「A!A起きて?学校間に合わないよ?」
「眠い〜」
「夜中にこっそり韓流ドラマ見るからだろ」
「・・ん〜」
どんなに身体をゆすっても起きないから、俺は最終手段を使う。
「早く起きないと、嫌いになっちゃうかも」
「おはようございます!太輔さん」
「おはよ」
ベッドから起き上がった彼女はすぐに俺にくっつくから、俺は彼女をくっつかせたまま、リビングまで連れていく。
「朝食作るから、離れて?」
「やだ。くっついたまま一緒に作る」
「はいはい。じゃあくっついてていいから邪魔しないでね?」
料理は全く得意ではないけれど、簡単なものなら作れるようになった。
妻に朝食を食べさせなければならないという使命感が、俺を少し成長させてくれたんだと思う。
フライパンに火をかけて、卵を割る。
「やっぱ邪魔だから離れて?」
「え?」
「この世の終わりみたいな顔しない」
「だって」
「帰ってきたら、もっとすごいことしてあげる」
耳元で囁いたら、彼女は顔を真っ赤にして、ようやく俺から離れてくれた。
「すごいことって何だろう」
「君が想像してる何倍もすっっごいこと。ほら、いいからパン焼いて」
「パンなんか焼いてる場合じゃないです!」
「今すぐ焼かないとお預けだよ?」
「何枚焼きます?5枚?」
「それは焼きすぎ」
ゲンキン過ぎる彼女に、思わず笑ってしまう。
毎日毎日、君が俺を笑わせてくれるから、毎日毎日、君との幸せな時間が降り積もっていく。
日々は、めまぐるしく過ぎていくし、油断していたら、忙しなく押し流されてしまう。
だから、ちゃんと確かめたい。
一日の終わりに、君を大切にできていたか、君に優しくできていたか、ちゃんと、君のとの時間を振り返りたいと思っている。
「太輔さん、パン焼けました!5枚!」
「誰がそんなに食べるのかな」
「私が食べます!夜に向けて、体力つけとかないと」
大真面目に答える彼女に、声を上げて笑った。
「太輔さん?」
愛しいんだ。
君の全てが。
君との時間が。
時々泣きたくなるくらい、俺は君を愛している。
「ねぇ、A」
「ん?」
「ずっと、そのままでいてよ」
俺のいちばんはずっと君だ。
君だけが、愛にあふれる毎日を、俺に与えてくれるから。
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可憐(プロフ) - マキさん、ご返信ありがとうございます。嬉しいです。こんな藤ヶ谷さんに育てられたいです。 (2021年3月3日 5時) (レス) id: 002f2722cb (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - 可憐さん» こちらこそ、読んでいただき、ありがとうございました!藤ヶ谷くんは気遣いのできる優しさの塊の人だと思ってます(*^^*)こちらが言えない気持ちも全部汲み取ってくれそうです(^^) (2021年3月3日 0時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
可憐(プロフ) - マキさん、ありがとうございます。何度も読み返し、余韻に浸りを繰り返していました。藤ヶ谷さんの底無し沼のような優しさ、一度ハマってみたいな。羨ましい。と思ってしまいました。いつも幸せにしていただきありがとうございます。 (2021年2月2日 23時) (レス) id: 002f2722cb (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - あゆみさん» お久しぶりです!このお話も読んでいただき、ありがとうございます(*^^*)藤ヶ谷くんは、めちゃくちゃ優しそうだと私も思ってます!私の理想の藤ヶ谷くんをふんだんに盛り込みました〜\(^-^)/ (2021年1月8日 3時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - あこさん» 私も完結できて心からほっとしています〜(*^^*)完結する瞬間が一番嬉しいです!私も#1Girlの藤ヶ谷くんには、私の理想の藤ヶ谷くんをてんこ盛りに盛り込みました笑!書いていて、とても楽しかったです(*^^*) (2021年1月4日 23時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
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