episode7 『#1Girl 37』 ページ26
賢い頭が欲しい。
藤ヶ谷さんが困った時、すかさず良いアイディアを提供できるような。
莫大なお金が欲しい。
藤ヶ谷さんの会社が傾いた時、すかさず私が助けたいから。
あーあ。
私には本当に何もない。
賢い頭も大金も、藤ヶ谷さんを魅了するような容姿さえも、何一つ持ってない。
自分が持たないものの数を数え続けるというネガティブな時間。
溜め息ばかりつく私に、さっきから友達は呆れてる。
「講義終わってから、随分時間経ってるんですけど。うっとおしいんだってば、さっきから溜め息ばっかり」
「辛辣〜」
「だって本当のことだもん。ほら、帰るよ?」
友達の後にくっついて、ノロノロと正門までの道のりを歩く。
「・・何で?」
「A?」
「ごめん。私、妄想し過ぎて幻覚見えてるかもしれない」
「え?」
「えりちゃんに見える?世界一カッコよくて、世界一優しくて、世界一私が好きな人」
「それ以上言わないでくれるかな?俺が恥ずかしいから」
「幻聴まで?!」
「君の恋人の藤ヶ谷です。幻覚じゃなく、実物です。ほら、君がトリッキーなことばっか言うから友達がびっくりしてるよ?」
困ったようにはにかむ藤ヶ谷さんと、驚いて固まっているえりちゃんを交互に見る。
「はじめまして。Aさんとお付き合いしている藤ヶ谷太輔です。驚かせてすみません」
「・・・お噂は、かねがね」
「どんな噂なのか、聞くのも怖いです」
「毎日惚気られて困ってます」
「面目無い」
「いえ、藤ヶ谷さんこそ、困ってるんじゃないですか?変だから、この子」
「困ってます。とても」
「え?!」
「やっぱり」
「僕にとって、初めて触れる種類の人類なので、どうしていいのか図りかねて、対応に困ってるんですけど、一番厄介なのは、他ではもう、物足りないというところだと思います」
「どういう意味ですか?」って戸惑う私をほったらかして、えりちゃんと藤ヶ谷さんは顔を見合せて笑い合っている。
「えりちゃ・・・
「じゃあ、私は先に帰るね。変なことばっか言って、藤ヶ谷さんを困らせちゃダメよ?」
「・・・・うん」
去っていくえりちゃんを見送る私に、藤ヶ谷さんが感慨深そうに呟く。
「君の周りって、君以外、まともな人ばかりだね」
「さっきから何言って・・・
私の腕を強く引いて、藤ヶ谷さんが私の身体を抱きしめる。
「ほっとけないから、結婚して?」
episode7 『#1Girl 38』→←episode7 『#1Girl 36』(藤ヶ谷さん)
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可憐(プロフ) - マキさん、ご返信ありがとうございます。嬉しいです。こんな藤ヶ谷さんに育てられたいです。 (2021年3月3日 5時) (レス) id: 002f2722cb (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - 可憐さん» こちらこそ、読んでいただき、ありがとうございました!藤ヶ谷くんは気遣いのできる優しさの塊の人だと思ってます(*^^*)こちらが言えない気持ちも全部汲み取ってくれそうです(^^) (2021年3月3日 0時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
可憐(プロフ) - マキさん、ありがとうございます。何度も読み返し、余韻に浸りを繰り返していました。藤ヶ谷さんの底無し沼のような優しさ、一度ハマってみたいな。羨ましい。と思ってしまいました。いつも幸せにしていただきありがとうございます。 (2021年2月2日 23時) (レス) id: 002f2722cb (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - あゆみさん» お久しぶりです!このお話も読んでいただき、ありがとうございます(*^^*)藤ヶ谷くんは、めちゃくちゃ優しそうだと私も思ってます!私の理想の藤ヶ谷くんをふんだんに盛り込みました〜\(^-^)/ (2021年1月8日 3時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - あこさん» 私も完結できて心からほっとしています〜(*^^*)完結する瞬間が一番嬉しいです!私も#1Girlの藤ヶ谷くんには、私の理想の藤ヶ谷くんをてんこ盛りに盛り込みました笑!書いていて、とても楽しかったです(*^^*) (2021年1月4日 23時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
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