episode7 『#1Girl 33』 ページ22
タクシーに乗ったせいで、今月のお小遣いはすっからかんになってしまった。
ただいまも言わずに部屋に入って、ベッドの中に潜り込む。
川村マユさんは綺麗だったし、何だか頭も良さそうだった。
私が過去に読んだ漫画では、幼馴染みの女の子は、必ずハッピーエンドをもぎ取る、最強キャラだった。
「もぉ、やだ。幼馴染みとかやだ。私に勝ち目ある?」
バタバタと、ベッドの中で暴れてみる。
気分は、少しも晴れない。
「A、入るわよ?」
ノックをしたあと、お母さんが扉の向こうでそう言った。
「やだ!入らないで!私は今、戦ってるんだから!」
「え?何と?・・本当にどうしようもない子ね、訳のわからないことばっか言って・・ごめんなさいね、藤ヶ谷さん」
「え?!藤ヶ谷さん?!」
「相澤さん、さっきはごめん。部屋の中に、入ってもいいかな」
「だめ」
「入りたいな」
「だめです!」
「入るね?」
私の言うことを全然聞いてくれない藤ヶ谷さんは、“お邪魔します“って言いながら、私の部屋のドアを開けた。
「拗ねてるの?」
「拗ねてません」
「じゃあ、ベッドの中から出てきてくれませんか?」
「・・・嫌です」
「よし、根くらべだな。ソファに座ってもいい?」
「・・いい」
「ありがと」
被った毛布の隙間から、藤ヶ谷さんを盗み見る。
ソファに座って微笑む姿から、大人の余裕を感じる。
「逃げ足、速すぎない?追いかけたけど見つけられなかった」
「・・追いかけてくれたの?」
「もちろん。俺の彼女は相澤さんだからね」
「・・嬉しい」
「あ、毛布が少しめくれた。あと一押しかな」
「何かもっと、嬉しいこと言って欲しい」
「あはは。何だよそれ。嬉しいことかぁ・・・ん〜・・・よくわかんないけど、早く顔が見たいな。君に会いたくて、急いでここまで来たんだから」
バッと毛布を投げ捨てて、ソファに座る藤ヶ谷さんに抱きつく。
「抱きつき方が独特だね。コアラにしがみつかれてるみたいだ」
「・・・・川村マユさんは何歳ですか?」
「28歳」
「何年間お付き合いしてたんですか?」
「6年くらい」
「川村マユさんの好きな食べ物は?」
「甘いもの全般」
「即答しないで」
「あ、ごめん」
「・・藤ヶ谷さんが、今好きな人は誰ですか?」
「A」
“即答して偉いでしょ?“って微笑んで、コアラみたいに抱きつく私に、藤ヶ谷さんはキスをした。
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可憐(プロフ) - マキさん、ご返信ありがとうございます。嬉しいです。こんな藤ヶ谷さんに育てられたいです。 (2021年3月3日 5時) (レス) id: 002f2722cb (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - 可憐さん» こちらこそ、読んでいただき、ありがとうございました!藤ヶ谷くんは気遣いのできる優しさの塊の人だと思ってます(*^^*)こちらが言えない気持ちも全部汲み取ってくれそうです(^^) (2021年3月3日 0時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
可憐(プロフ) - マキさん、ありがとうございます。何度も読み返し、余韻に浸りを繰り返していました。藤ヶ谷さんの底無し沼のような優しさ、一度ハマってみたいな。羨ましい。と思ってしまいました。いつも幸せにしていただきありがとうございます。 (2021年2月2日 23時) (レス) id: 002f2722cb (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - あゆみさん» お久しぶりです!このお話も読んでいただき、ありがとうございます(*^^*)藤ヶ谷くんは、めちゃくちゃ優しそうだと私も思ってます!私の理想の藤ヶ谷くんをふんだんに盛り込みました〜\(^-^)/ (2021年1月8日 3時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - あこさん» 私も完結できて心からほっとしています〜(*^^*)完結する瞬間が一番嬉しいです!私も#1Girlの藤ヶ谷くんには、私の理想の藤ヶ谷くんをてんこ盛りに盛り込みました笑!書いていて、とても楽しかったです(*^^*) (2021年1月4日 23時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
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