60・藤ヶ谷さん ページ12
「藤ヶ谷さんって、ちゃんとご飯食べてます？」
買い物かごを心配そうに見つめて、Aは大量の肉や魚で、かごの中を満杯にした。
「誰がそんなに食べるの？」
「藤ヶ谷さんです」
「俺、少食なんだけど」
「心配なんです！毎日野菜とかフルーツばっか食べてません？藤ヶ谷さんはウサギなんですか？」
「人間だよ？」
「わかってます！」
日曜日の午後5時。
散歩がてら、スーパーに買い物に行くことが、休日の日課になりつつある。
Aと付き合うまで、外食ばかりだった俺にとって、スーパーは目新しいものでいっぱいだ。
「A、見て！シリアルってこんなに種類あるんだね」
「シリアル？またそんなお腹に溜まらなさそうなものばっかり」
「俺って女子力高いよな」
「え？！」
弾けるように、Aが笑う。
なんだかもう、俺はそれだけで満足だった。
特別な場所に出かけなくても、たくさんのお金をかけなくても、幸せは、休日のスーパーにだって詰まっていること、俺はAを好きになって知ったんだ。
「藤ヶ谷くん？」
聞き覚えのある声に顔を上げると、そこには新堂と玉森がいて、俺は手にしていたシリアルを、Aがみていない隙に、こっそりかごの中に入れた。
「・・・あれ？家、この辺だっけ？」
「最近新居に引っ越したの。もうすぐ結婚するし、一緒に住むにはちょうどいい時期かなって」
ニコニコとご機嫌な新堂の隣で、玉森はぽわんとした、感情の読み取れない表情をしている。
「ガヤもこの辺？」
「うん」
「水上さんも一緒に住んでんの？」
「・・いや、彼女は・・・
俺が一度も行ったことのない、ここから1時間もかかるAの部屋。
玉森は行ったことあんのかな？って、一瞬にして嫉妬めいたことを考える自分に驚く。
「ねぇ、よかったらうちに来ない？」
「え？」
「買い物してるってことは、今から夕飯なんでしょ？せっかく会えたんだし、一緒に食べよう？」
空気が読めないのか、空気を壊そうとしてるのか、新堂がとんでもない提案をしてくる。
「・・いや、せっかくの休みに俺たちが押し掛けたら玉だって迷惑だろ？」
「別に？二人に時間があるなら遊びに来てよ」
相変わらずの、ゆるゆるとした空気感。
やっぱり俺は、玉森が何を考えているのかわからない。
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mhnon39(プロフ) - そうだったんですね！分かりました！何度もお話読んでます＾＾他のお話が読めるまでお返事お待ちしております！頑張ってください＾＾ (2020年6月10日 20時) (
レス) id: f1d97944f4 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - 海さん» 悲しい展開が続いていますが、最後までお付き合いくだされば嬉しいです(*^^*)メッセージありがとうございます。１日に数件しか返信できておらず、パスワードをお送りするのは遅くなると思います(><)申し訳ありませんm(._.)m (2020年6月10日 17時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
海(プロフ) - とっっても切なくて胸が苦しいです！マキさんの書く作品本当に面白くてだいすきです＾＾メッセージの方も送らせていただいております＾＾これからも更新楽しみにしています。 (2020年6月9日 20時) (レス) id: f1d97944f4 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - 玲さん» 新堂さんヤバいですよね！女子の嫌なところをグツグツ煮詰めて出来上がったような仕上がり笑！3人を可哀想にしたててるのは私なんですが、可哀想( ；∀；)って思いながらかいてます。結末が見えなくてある意味泣けてきます笑！ (2020年6月5日 22時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
玲(プロフ) - なんか、、新堂さん以外の3人が3人共良い子ですね。そのおかげでなのか新堂さんの悪役さが際立っていてなんとも良いです。現実に居たらぶっ飛ばしてるかもしれませんが（笑）3人は3様の切なさがありますね。誰も悪くない。悪くないから苦しい。こういう展開大好き！ (2020年6月4日 20時) (レス) id: b7c4bcac2b (このIDを非表示/違反報告)
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