54・玉森先輩 ページ6
誰もいなくなったオフィスは、海の底みたいに静かだった。
失ったものの大きさに、呆然として身動きが取れない。
"これでよかった"ではなく、"こうするしかなかった"。
君への気持ちを消す以外、
俺への気持ちを消させる以外、
俺には方法が思い付かない。
自分が望んだことなのに、それでも性懲りもなく苦しくなるこの胸の痛みに、どう抗えばいいのかわからなくて、感情はめちゃくちゃに乱されてしまう。
「裕太、お疲れ様」
「・・・莉子。まだ帰ってなかったの?」
「うん。今まで外に出てたから」
「一緒に帰ろう。俺も仕事終わらせる」
「今ね、藤ヶ谷くんと水上さんが一緒に帰ってるのを見かけたんだけど、二人って付き合ってるのかな?」
”藤ヶ谷さんとのことを、先輩にちゃんと聞いて欲しい”
懇願するように、水上はそう言った。
「うん。付き合ってるみたいだよ?」
よかったんだ。
これでいいんだ。
俺は水上を前にして、彼女を抱きしめることさえできないんだから。
「裕太」
「何?」
「新婚旅行で行きたいとこある?」
「莉子が行きたいとこでいいよ。俺、海外のことはよくわかんないから」
「え〜?ほんとに?もっとよく考えて?」
少し、埃っぽい倉庫。
昼休みの喧騒から守ってくれる要塞。
ふざけて彼女の三つ編みをほどいた時、緊張して潤んだ瞳は、俺を真っ直ぐに見つめていた。
その吸い込まれそうな眼差しに、多分、俺は、特別な感情を抱いていたはずなのに・・・。
もう、戻れない。
あの昼休みの倉庫には還れない。
俺の一番行きたい場所は、一番行ってはいけない場所。
水上はもう、新しい恋を、ちゃんと見つけたから。
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mhnon39(プロフ) - そうだったんですね!分かりました!何度もお話読んでます^^他のお話が読めるまでお返事お待ちしております!頑張ってください^^ (2020年6月10日 20時) (レス) id: f1d97944f4 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - 海さん» 悲しい展開が続いていますが、最後までお付き合いくだされば嬉しいです(*^^*)メッセージありがとうございます。1日に数件しか返信できておらず、パスワードをお送りするのは遅くなると思います(><)申し訳ありませんm(._.)m (2020年6月10日 17時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
海(プロフ) - とっっても切なくて胸が苦しいです!マキさんの書く作品本当に面白くてだいすきです^^メッセージの方も送らせていただいております^^これからも更新楽しみにしています。 (2020年6月9日 20時) (レス) id: f1d97944f4 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - 玲さん» 新堂さんヤバいですよね!女子の嫌なところをグツグツ煮詰めて出来上がったような仕上がり笑!3人を可哀想にしたててるのは私なんですが、可哀想( ;∀;)って思いながらかいてます。結末が見えなくてある意味泣けてきます笑! (2020年6月5日 22時) (レス) id: 50fef8eb31 (このIDを非表示/違反報告)
玲(プロフ) - なんか、、新堂さん以外の3人が3人共良い子ですね。そのおかげでなのか新堂さんの悪役さが際立っていてなんとも良いです。現実に居たらぶっ飛ばしてるかもしれませんが(笑)3人は3様の切なさがありますね。誰も悪くない。悪くないから苦しい。こういう展開大好き! (2020年6月4日 20時) (レス) id: b7c4bcac2b (このIDを非表示/違反報告)
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